地方大学出身の経営者が地方経済界で台頭する時代への序章

時代が変化をすると、そこで事業活動を行う企業経営者の気質も変わってくる。それは世代交代であり、また地方経営者の出身大学がそれに伴い変化することにも影響をしてくるだろう。

例年、香川県からは最も近く身近にある本州の大都市圏(大阪・京都・神戸)《関西地域》へ進学をする学生が多くいるのは、地元に大学が少ないだけにもはや当たり前の光景となっている。しかも高速バスに乗れば片道3時間で行き来することが出来、ゼミ生でしかない大学四年生なら下宿を引き払い、自宅通学も決して不可能な距離ではない。

香川県はそれに加え東京を中心とした首都圏への進学者も例年多いことで知られている。四国の中でも香川県の進学傾向の特徴として、関東圏へ行く人が他の三県と比べて多いというのは、特に進学校の学生の東京指向が強いという分析だ。

 世の中には出身大学別の様々なランキング

中でも社長のプロフにまつわるランキングが興味深い。ずばり毎年発表される全国の企業経営者、社長の出身大学別ランキングだ。

そこでは四国の社長の傾向が浮かび上がる。一位日本大学、二位慶應義塾大学、三位早稲田大学、四位明治大学、五位中央大学と続き、東京に立地する大学が多くを占めている。四国全体でも実は首都圏指向は今に始まったものではなかった。

関東圏に大学定員数の約半分が占められている日本の大学業界の傾向から致し方ない。しかし地方から見ると地元で大切に育ててきた虎の子の“人材流出ランキング”であるのだ。もう少しその地方の大学にも目を向けていいのではないか。そのことで地元の大学レベルも上がり、地域との連携や共同研究など大学がその土地にある意義が高まってくる。

これが都道府県別での順位となると少し趣が変わってくる。その県に本社がある企業の社長の中で最も多く出身者を輩出する大学のランキングだ。香川県は「日本大学」が一位となっていた。

これは東京商工リサーチの発表資料によるもので、四国の他の県では高知県が香川同様に「日本大学」。しかし徳島県では地元の国立大である「徳島大学」が入り、愛媛県では国立の愛媛大ではなく、四国では最も元気な私立総合大学として「松山大学」となった。

 地方の大学で学ぶ良さをわかること

これは地方の政令市で似た傾向がある。何よりも国立大学に規模やレベルで伍する私立の総合大学が県庁所在地に存在しないと、こうした結果には至らない。愛媛県では松山大学(旧松山商科大学)からの卒業生が立派に四国全域の地元で活躍をしているこその証であろう。

 

中国地方は地元志向が傾向にはっきりと現れており、中でも国立志向が強い。岡山県=「岡山大学」、広島県=「広島大学」、山口県=「山口大学」、島根県=「島根大学」、鳥取県=「鳥取大学」と地元の国立大学出身者が企業経営の面でも躍進する結果となっている。

実際、岡山県で急成長企業ストライプインターナショナルの創業者である石川康晴氏は、出身大学の岡山大学に私財を投じて約20億円を寄付。キャンパスの中心に「ストライプホール」を建設し、学生達に世界中の様々なスピーカーを招き講演を実施し、ベンチャー精神や実践的な知識習得を促す。

 私立大学の中でも一部のローカル総合大学が躍進している。大阪府・奈良県・和歌山県で一位となったのが近畿大学、福岡県・佐賀県・大分県で一位となったのが福岡大学である。

残念ながら卒業生の総数の桁が違う日本大学が、一位の都県が20もある中で、地元企業に地元大学の出身者が社長でいるのはある意味貴重なこと。
大都市圏への武者修行も良し、そうした志が薄ければしっかりと地元に根を生やして、将来の企業活動で地域に貢献するローカル企業経営者を目指すことは素晴らしい。

 その他、地元の私立大学が一位になったのが、宮城県=東北学院大学、愛知県=愛知学院大学、福井県=福井工業大学、兵庫県=甲南大学、愛媛県=松山大学、熊本県=熊本学園大学である。

国は国立大学の改革プランに沿って世界に通用するグローバル教育を行う大学と、地域に貢献する人材を育成する大学、特定分野の教育研究に特化する大学に分類し、主に地方大学を中心に、地元就職率の向上などをスローガンに掲げ、目標を設定。

 

ちょうど香川大学でも、創造工学部、医学部臨床心理学科を新設するとともに、大学の母体ともなった高松経済専門学校時代から脈々と引き継がれた経済学部を新たに改組する学部再編が数年前に行われた。
地域経済の活性化を担うひとづくりへ向けて、体制が強化されることは香川大学卒の地元企業経営者が誕生する素地がまた一歩高まることにならなければいけない。

香川県の大学は私立大学の発展整備が他県に比べるとその質量ともに見劣りしていることは自他ともに認めること。せめて県立の看護医療大学を総合大学化するか、高松市立の単科大学の創設を構想に加えて欲しいと願うものの、地元自治体は高等教育機関の不足は認めても、自分からリスクを負ってまで不足を補うことはしようとしないのは残念でならない。
少子化、大学の定員は不足していない、地方公立大学の経営の難しさを理由に挙げる。だが高松市とほぼ人口規模が近い金沢市には大学が7校に対し高松市には3校。高松市より10万人も少ない秋田市には9校もある。もちろん卒業生がなかなか地元に定着をしてくれない問題は、魅力ある働き口がどれだけあるかということに尽きるので、都会に流出してしまっている現状は忸怩たる思いもあろう。

 岡山県に流失する頭脳、香川大学へ来る岡山出身者も多くは岡山で就職

そして最後に地元大学の雄、香川大学でさえ地元の出身者が少なくなってしまい、代わりに岡山県の高校生が香川と同じくらい入学しているという現状にも目を向けないといけない。昔の国立大学の1次校と2次校の関係性がそのまま残っているようだ。それとは真逆で私立大学が密集しつつある岡山県の大学には香川県出身者が数多く進学していて、せっかく貯蓄高全国3位と言われるほどに貯蓄に励んできた大切なお金が、学費・生活費等で岡山県に多額のお金が流れてしまっている事実にも、もっと香川県の教育関係者は目を向け深刻に考えていくべきではないだろうか?

授業料と生活費で一人年間150万円から2百万円はくだらない。岡山県から見るとものすごい経済効果と言えなくないだろうか?このコロナ禍で地元への進学者が相対的に増えているとは言え、香川県では進学すべき大学の絶対数が全く足りていないのだから。

今春、専門職短大が高松市に誕生した。JR高松駅前にさぬき市から徳島文理大学香川校が移転してきて、学部数や定員も増やしていきたいという意向が披露されるなど、少しずつだか高松市の高等教育の定員増が実現できて来始めたのは朗報と言える。

 

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