マクドナルドの一人勝ちを許すな!コロナ変革を迫られる外食業界🍟

外食業界で長年ナンバーワンの地位にいる「マクドナルド」。しかし近年では2014年から15年にかけての期限切れ食材の混入事件に端を発した一連の騒動の余波で、品質管理体制が問われるとともに、一番の顧客層でもある子育て世代に見放されたのか一気に客足が落ち込んでいた。来客とそれに伴う売上の低下が約三千店舗の大型チェーン企業で起こるとなると、風評が風評を呼んで一気に売り上げはどん底に落とされる下降線をたどる怖さが感じられたのであった。

 米国では購入客層に応じたチェーンストアが細分化されて存在する

それに対して日本では子供を中心としたファミリー層には大変な強みを持っているのはご存知の通り。だがマクドナルドを卒業した20歳以降シニアに至るまでの子育てをしない年齢層の受け皿となるようなチェーンが育っていないのが残念。選択肢が少ないから仕方なくマクドへという層が多いのではないか。バーガーキングなども日本では何回も撤退する憂き目となった。

そうした中で当時のマクドナルドジャパンを率いたカサノバ社長は、子育てをするママさんにターゲットを絞り、安心してマクドナルドを利用してもらえる要素を確認し、ひとつずつ愚直に対策を地道に打っていた。それによってV字とはならないまでも徐々にファミリー客が戻って来たのだ。

「カフェマック」の導入も最初は反応が良くなかったのだが

高校大学生層に合わせたそれまでの明るい色調から、一転してシックな装いの内装外装の店舗への改装を推し進め、かなりの店舗が新タイプに生まれ変わったことで、逆に子連れのファミリー層が来づらい雰囲気になったのではと思ったくらい。

それでも季節の新商品などを積極的に投入し、消費者の飽きを食い止めている。パフェやドリンクのメニューが充実したことは、それだけ利用動機が増えるきっかけにもなっている。また一般的にファーストフードが弱いとされてきたディナーメニューにも正面からチャレンジ。

一時は店内の清掃が行き届かず、荒れ放題の店舗も見受けられたが、現在では嘘のようにクレンリネスも一定のレベルを維持しているようだ。24時間店舗を減らして夜間の清掃を強化した。

 QR決済なども積極導入、レジ前には多くのキャッシュレスメニュー

ちょうどその頃に導入したデジタルサイネージを最大限に活用、従来からのスマホサイトの活用も合わせて、デジタル化の布石をしっかりと打っていた。スマホの専用サイトから直接オーダーができ、店舗に到着したら即商品をピックアップできるサービスや、「ゲストエクスペリエンスリーダー」と呼ばれる接客の責任者が店頭でお客を出迎える。オーダー商品を直接テーブルまで持ってきてくれるテーブルデリバリーといった具合で常に進化を遂げる。テーブルサービス店の良さとテイクアウト需要の掘り起こしを両面で強化。マックデリバリーという自前のデリバリーもコロナ禍で受けた。

すでに欧州店舗では店内中央のデジタルサイネージでの顧客によるセルフオーダーや、各テーブルに取り付けられた一人一台のゲーム端末など、ここはゲームセンター?と見まごうばかりの店内にも。

そうした最先端の店舗スタイルからしたら、日本の店舗はうまい具合にアナログとデジタルを組み合わせている。日本人の感性を汲み取った、その国ごとに違ったターゲティングを得意とするマクドナルドならではの取り組みと言えよう。

以前からスマホサイトでそのまま注文できたら、店舗のスタッフも楽なのではと思っていたが、やっぱりこの手法が取り入れられたようだ。省力化を目指すコンビニが競争相手でもあるファーストフード業界の巨人が示した新スタイルは、今後の日本の飲食業界をはじめとするサービス業にも大きな影響力があるのではないだろうか。遅まきながらコロナ禍がそうしたデジタル化を後押ししている。飲食業はもともと労働生産性の低さが指摘されてきた業界である。

 コロナ禍前は年中、人手不足に悩まされている飲食業界であったが、

今後は急速に省力化、IT化の進展が図られることだろう。損益分岐の低い飲食業界でも使用可能な廉価なシステムの提供が進んでくることもそう遠くはない。

いかに効率よく、しかもサービスレベルを落とさずに顧客満足を実現できるのか。ひとつの答えがマクドナルドが進める戦略と思える。

カウンターに並ぶ、ドライブスルーに並ぶといった光景が過去のものになってくる日も案外近い。いやすでにこのコロナ禍でそれが実現できている店が生き残りを図れる。

人手不足とIT化の同時進行がこうした変革を生み出す素地となっていることは言うまでもない。マクドナルドは今後、再び24時間店舗を増やしていくのか、コンビニ同様に24時間運営の店舗も今後は立地条件や近隣店舗の競合、人口減少地域といった諸条件で弾力的な運用をせざるを得ないだろう。

 マクドナルドは10年前にデリバリー市場に参入、最近ではウーバーイーツなどもマクドナルドのデリバリーを多く手がけていて、コロナ禍を売上を大きく減らす飲食企業の中、決算予想の変更はしないと強気の経営のバックボーンにあるのが、店内飲食に頼らないモデルが確立できていることが大きかったのだろう。

《まとめ》

マクドナルドの昨年度最新決算では全店で過去最高の売上を記録。しかもこれが2年連続というからコロナ前からの絶好調加減がコロナ禍で一切揺るがなかったということ。デリバリー対応店舗を1年で約2倍に増やしていて、ファーストフードとの親和性が高いと評価を行っている。コロナ禍で即時に対応した成果ではなく、コロナ前から戦略を立てて実施していた施策が正にコロナではまったということ。これは日本市場に限らず世界の店舗で同様の結果を叩き出している。マクドナルドにこそ飲食の浮上するヒントが沢山隠されていると言うことで間違いない。2021年の第一四半期も同様の流れで経常利益に至っては前年比で約24%増となっている。

 

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