いまだに県域にこだわる都道府県。そんななかで“広域観光圏”って機能しているの? 《かがわコラム》

 国土交通省の外局として設立された観光庁。日本もやっと観光に対して重い腰を上げ本格的な取組みを始めたのが約10年ほど前であった。
それまではずっと800万人足らずであったが、取組の仕方が悪かったしいささか遅すぎるきらいもある。そして、2010年代に入ると東京、大阪、京都のいわゆるゴールデンルートに集中する、インバウンド観光客を地方に分散しながら、地方創生に繋げていこうという意図もあったであろう。

そんな中で広域的な観光振興を支援するための、事業として始まった観光圏整備事業であるが、国が事業費の4割まで負担すると言うことで、いままでなかなか手が付けられなかった県域をまたぐような観光振興施策にも光を当てることになった功績は大きいと考える。

まず全国で16地域が選ばれたが、四国地域は当初から徳島県の「にし阿波観光圏」の一カ所のみ。
そこで香川と徳島の西部地域がもっと連携すれば、海有り山有り川有りの魅力的な“観光圏”になりうるのだが、残念ながら初回選考には香川は入らなかった。

この事業、「観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する法律」に基づき、複数の観光地が連携して2泊3日以上の滞在型観光を目指す「観光圏」の形成を促進することを目的としている法律である。

 「にし阿波観光圏」は三好市、美馬市、東みよし町、つるぎ町。計画の概要を見ると「アレックス・カー氏が『日本の原風景』と紹介した『ほんものの田舎』の中で過ごす心豊かな時間を堪能してもらうため、周遊コースや滞在型メニューの創出等、『来訪・滞在を促進する旅の目的の創出(行ってみたい、体験してみたい、買ってみたい等と思わせる理由づくり)』を図る」とある。
ただしこのエリアの宿泊地はキャパシティ的には数が限られており、鍵は峠を挟んだ琴平の温泉旅館街で滞在して周遊してもらうこと。この区間はバイパスとなる「猪ノ鼻道路」がこのほど開通して所要時間がかなり短縮されたことで両地域の交流は今後飛躍的に深まるだろう。
国の思惑とは別に独自に香川西部と徳島西部が手を結び、魅力ある観光ルートの創造に向けた取り組みにきめ細かく着手している姿。国際化が進んだ高松空港からはすぐの距離にあるこの地域を観光の目玉にしていくことも立地的な武器となっている。

この認定のリストには「富士山・富士五湖観光圏」「富良野・美瑛広域観光圏」といった、何を今更とも言いたくなるような有名な観光エリアも含まれていた。

そういったところに比べるとこの「にし阿波観光圏」は、注目度の低く磨けば光るようなまさにこれから売り出すに相応しい観光スポットと言えるもの。意外に地味ではないかとも感じたこの周辺は特に香港で人気に火が付き、海外からの逆輸入の形で日本で注目されてきたので、すでに四国観光の定番の仲間入りを果たしつつある。

広域観光圏はブレイクの可能性の高い観光資源で構成

案外と海外からの観光客は日本の田舎に興味津々。外国の方の方が詳しい場所で、一部の国民に有名という場所も四国内で増えつつあると聞いたことがある。手つかずの雄大な山村風景が残っている四国の山地には魅力が眠っている。

もともと香川には瀬戸内海がある。瀬戸内国際芸術祭で世界的な注目を浴びている海と、神秘的な山を組み合わせた世界でも希な自然環境を活かすことで、どこにもない観光ルートの発信をすることが出来る。本当に魅力のあるそこにしかない本物の歴史や文化・景観をしっかりと磨いていく努力はもっとしていく必要があると言えるのではないか。

 (まとめ)香川県では平成27年に「香川瀬戸内アート観光圏」を認定している。これは瀬戸芸で観光客が増えた香川県内の美術館や博物館を起点にアート観光の魅力を発信するもの。アート巡りをメインのコンテンツで、香川県を周遊してもらう横の連携を作っていく。県民一人ひとりのおもてなしが加われば、香川県の新たな目玉となっていく予感がする。パブリックアート巡りを合わせたルートがお薦め。

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 私がお薦めする次の広域観光地は、淡路島の南あわじ市、鳴門市、東かがわ市の鳴門海峡を挟んで隣接する、三県3市が平成の初めに結成したASAトライアングル交流圏だ。名前の通り橋で繫がった3つの市の交流を目指して、活動をしてきたが、観光素材としても優れたものを抱える3市。現在は変化に富んだ自然を満喫できるサイクリングコースの整備して、サイクリストの訴求する取組をおこなっている。自転車以外のアクセスルートを作って是非このルートを香川3つめの広域観光ルートに整備していければ人気を得るだろう。

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