香川県外の作家が高松市に滞在し、創作の成果を披露する、「高松アーティスト・イン・レジデンス2020」が今年も始まった。5回目の今年も写真やパッチワーク、絵本など3組のアーティストの多彩な作品に触れることができる。
杉原信幸さんと中村綾花さんは、長野県をベースに国内外で活動するアーティスト。着古して破れた衣服などの「襤褸(らんる)」を市民から集め、市民と一緒にコタツ布団を手 縫いする。最後に巨大な獅子の「油単(ゆたん)」として舞を奉納し、創作の成果を披露する予定だ。
集まった布の多くは、端切れや着古しの浴衣、帯、大漁旗など、色褪せたり破れたりしている個性豊かなものばかりだが、二人を特に驚かせたのは、こんぴら歌舞伎大芝居で使われていた「役者のぼり」だ。古くなって役目を終えたのぼりが関係先の倉庫で眠っていると、企画を知った人が提供してくれた。
その土地の人々が大切にしてきた布の存在感が、古布の魅力だと杉原さんは話す。「古布には人々の暮らしや文化、思い出が染み込んでいます。この土地の記憶が宿ったコタツ布団を縫い、人々が語り合う交流スペースを作る。それを油単とした獅子舞を奉納することで、無病息災を願う人々の心を表現できれば」と作品に込めた思いを話した。
高松兵庫町商店街の空き店舗で製作し、2月23日に作品発表のイベントを予定している。コタツ布団の製作には大人から子供まで、誰でも参加出来る。