【かがわコラム】県庁所在地の「顔」を劇的に変える可能性を秘めている鉄道駅の大改革

鉄道高架事業は都市部が中心で地方は進展が緩やかである。 しかし、長年の尽力が実を結び高架化が実現すれば、懸案だった線路反対側との往来が一挙に自由となる。線路によって隔てられ、行き来が困難だった隣接地域が結びつき、これは都市の発展における一種の革命的な変化となりえると言えるだろう。

都市の中心に位置する主要駅の多くは、線路が上空を通る高架式であり、その足元(高架下)にはコンコースや商業空間がある。これにより、駅を自由に通り抜けられる動線が確保される。また、地上の駅でも、階上に誰もが利用できる公共の自由通路が設けられ、エリアの東西南北を結んでいる例が多数ある。 ちなみに、高松駅のような終着駅(頭端駅)は、日本では数少ない構造である。

JR高松駅

市街地における地上の線路は、長らく都市交通の大きな課題として残されている。四国で最も早く高架化を実現した高知駅に続き、2024年には松山駅で連続立体交差事業が完了した。

市街地を分断し、交通・物流に深刻な影響を与える「開かずの踏切」を解消するため、国は高架化を推進するが、香川県でも坂出市や丸亀市の高架は先進例となっているが、日本海側最大の政令指定都市である新潟市は、上越新幹線の終着駅でありながら、昨年まで在来線の高架化は未達成であった。新幹線開業時、新幹線ホーム側の南口は大規模な再開発で近代的なビルが建った。

しかし、在来線側の万代口(北口)は、かつての高松駅のような民衆駅の面影を残していた。この民衆駅には、下層階に商業施設、上層階に国鉄新潟鉄道管理局のオフィスが入居する複合施設として、長らく表玄関の風景を保っていた。 この歴史的な駅ビルは2020年に解体され、在来線高架事業の完成により駅前広場も一新された。

JR徳島駅

松山が目指す「シームレスな戦略」

それまでのスイッチバック式の小さなバス乗り場は、大規模で近代的なバスターミナルへと変貌し、駅全体が見違える進化を遂げたのである。特筆すべきはその構造。高架下の空間を有効活用することで、バスターミナル自体が北口と南口を貫通して繋がる設計となった。これにより、両側の駅前広場から一つのバス乗り場を共用できるようになっている。

そして最も優れた点は、2階にある鉄道の改札口から目の前のエスカレーターを降りるだけで、そのまま高架下のバス乗り場に向かうことができる点。これは、鉄道からバスへのシームレスな乗り換えを可能にし、極めて便利でスムーズな交通アクセスを実現したまさに先進的な形態。

同様の劇的な変化は、富山駅でも起きている。富山駅では新幹線開通と同時に在来線を高架化し、駅の南北で分かれていた路面電車の線路を接続した。その結果、別の路線であったものが直通運転が可能となるだけでなく、新潟駅同様に駅改札からエスカレーターを降りると、そこに路面電車のホームがあるという便利な接続が実現している。

JR高知駅

 

この手法を応用しようというのが松山駅である。高架化で創出された高架下空間を活用し、バス乗り場を整備、駅前から松山空港方面への延伸を見据えた路面電車の駅(電停)設置を目論む。これにより、玄関口である松山駅を起点にした交通アクセスにおける劇的なシームレス化を図る。バス乗り場の整備では、国のバスタ計画の枠組みを活用しようとしている。これにより国の補助金が導入され、より大規模な整備が可能となる。

これまで松山駅前の乗り場は手狭で、路面電車への乗り換えも横断歩道を渡る必要があり、利用客は不便を強いられてきた。高架化は、この問題を解決する絶好の機会となるもの。しかし、現在までのところ、バスタ計画の事業化への道のりは険しいようで、高架完了から一年を過ぎても整備の道筋が確立されていない。要因の一つとして、「松山駅が国道に面していない」という、国の補助要件に関わる特有の理由が挙げられている。また、路面電車の乗り入れに関しては、運行事業者である伊予鉄道、そして駅構内に位置するためJR四国との調整も必要となる。

高架化完了と同時にバスターミナルや駅前広場を運用開始した新潟駅と比べると、松山駅の進捗は遅いという市民の意見も当然である。従来の都市構造を一新する大規模な都市計画であるため、まずは鉄道高架の完了を最優先にしたため、周辺整備の本格検討が遅れたものと推測はされるのだが世論は厳しい。

 

JR松山駅

一方で、高架下に先行して誕生した「だんだん通り」と呼ばれる商業エリアは、オープン景気が落ち着いた後、駅利用客以外の集客が見込めないため、客足が鈍っていると商店主らは指摘する。駅周辺の総合的な開発計画が見えない限り、周辺からの波及は難しい。

松山市を訪れる際、長年伊予鉄松山市駅前の発展ぶりに比べ、JR松山駅周辺は寂しい印象があった。今回の高架化は、この状況を打開する起爆剤となり、四国一の都会である松山市の「顔」としての駅前整備を大きく進展させる絶好の機会。松山市は今年度中にビジョンを作成し、本格的な整備計画の推進を目指している。どのような計画が示されるのか、大きな期待が寄せられている。

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