自社ブランドのバッグで「形勢を逆転」アーバン工芸(東かがわ市)

東かがわ市発のパッチワークレザーブランド、「TIDE(タイド)」。このブランドの顔ともいえるのが、瀬戸内の潮目をモチーフとした唯一無二の優美な「タイド柄」だ。熟練の技を持つ職人が、複雑なパーツを丁寧につなぎ合わせて表現したものだという。格調高くも温かい佇まいが存在感を放つ。

WIDE TOTE Black Custom

タイドを生み出したのは、手袋の産地として知られる東かがわ市で、革手袋メーカーとして産声をあげたアーバン工芸㈱。創業から今年で69年を数え、レザーバッグをメインに手掛ける今も変わらず、手袋から学んだ巧緻な縫製技術を製品に宿す。

常務取締役の内海公翔さんは、東京の広告代理店を経て、2012年に祖父の代より続く家業に入った。営業から現場作業まで幅広い職務に従事しながら、19年に念願の自社ブランドを始動。

アーバン工芸㈱ 常務取締役の内海公翔さん

オリジナルのバッグや財布など高付加価値のアイテムを展開することで、「OEMを主体としている会社の潮目を変え、形勢を逆転する」という並々ならぬ決意をタイドに込めた。MADE IN JAPANの技術を磨き続けてきた職人たちの地位を向上し、地場産業を次世代に紡ぎたいのだと真摯に語る。

最近では、タイド柄の色を自由に組み合わせられるサービスを開始。世界でひとつだけのアイテムを生み出すことも叶うとあって、審美眼を持つ大人たちから支持されている。

「日本の縫製業は窮地に立たされ、国内におけるアパレル生産比率は2・5%を下回る。私たちにしかできないモノづくりで、現代の不安定な社会に挑み続けたい」。

20年より、やわらかな革の風合いと明るいカラーが特徴的な女性向けブランド「SOEL(ソエル)」をスタート。
「将来的には、自社ブランドを年商1億円規模まで育てていきたい」とビジョンを描き、新時代を切り拓く。

※「かがわ経済レポート」2022年特別号「寅年の経営者」より編集してお届けしました。

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