【後半】香川県のお産を、全国ワースト5から世界一に! 注目のスタートアップ企業

このインタビューは、かがわ経済レポート2021年2月15日号のトップインタビューより一部抜粋・再編集して、前後編でご紹介します。

日本の産科施設は、この10年で約2割も減っています。香川県の周産期医療は、かつて全国ワースト5でした。

そんな危機的な状況下に起業したのが、香川大学発のスタートアップ企業、メロディ・インターナショナル㈱です。

「すべての妊婦に安心安全な出産環境の実現」を目指す同社や顧問らの貢献も大きく、いまでは、香川は世界で一番安心な地域になりました。

いま注目を集める同社の尾形優子社長に、医療革命の最前線についてうかがうインタビュー後半です。

 

尾形優子(おがた ゆうこ)氏:生涯において2度目の創業。1度目(㈱ミトラ)は日本初の産婦人科電子カルテの事業化に成功。インターネットと医療ICTの創世紀からの経験を生かし、周産期遠隔医療プラットフォームの構築とビジネス化を目指す。

 

パンデミック以降ニーズが急増中です。導入状況は?
現在、世界130の病院にメロディ・インターナショナルのシステムを導入いただいています(2020年12月時点)。

そのうち海外はタイ、ブータン、カンボジアといった医師不足の80の病院、国内は50の病院に導入済みです。

北海道大学病院の事例では、臨時的に健診の80%を在宅で受けられるオンラインに切り替えています。

香川県下ですと、香川大学医学部附属病院、サンフラワーマタニティークリニック、よつばウィメンズクリニック、小豆島中央病院の4つの病院で活用され、さぬき市民病院では実証実験中です。

 

画期的な遠隔医療のモデルに向けて
離島・へき地は医療体制の充実が喫緊の課題になっています。少子高齢化がすすむ粟島での「三豊市粟島スマートアイランド推進プロジェクト 遠隔診療と無人ドローン配送」の実証実験に、遠隔医療のコーディネーターとして協力しています。

香川大学、㈱かもめや、あいおいニッセイ同和損害保険㈱などによる合同実験です。

今回、島唯一の医療機関・粟島診療所では対応できない急患が訪れた設定で遠隔診療のテストを行いました。

① 心臓に疾患を抱えた島の患者と本土の病院にいる医師をプラットフォームでつなぎ、オンライン問診。
② 検査に必要なモバイル心電計を本土から無人ドローンで患者のもとに届ける。(片道最短10分)
③ 患者のバイタルデータを医師がリアルタイムで診断。薬剤師がオンライン服薬指導も実施。

こうした事業を本格的に行うのは全国でも類を見ないこと。医師、患者さん、診療などすべてリアルです。

画期的な遠隔医療のモデルであり、日本の縮図ですよね。他の過疎地で遠隔医療を待ち望んでいる患者さんにも役立てていただけたらと思います。

 

遠隔医療の未来とは。世界をどのように変えていきたいですか?
新型コロナを受けて、オンラインによる遠隔診療の導入が進んでいますが、今後もこの流れは世界的に広がっていくと見ています。

現在「コロナ時代の世界連携」がアクティブ化しています。香川大らと展開している産学官連携で、このほど実施した2度の海外向けオンラインレクチャー(Youtube:日本語)にも多くの医療関係者が熱心にご参加くださり、注目度の高さがうかがえました。

その一方、日本中で病院が集約化され病院の数が減っています。精神的・経済的な負担を抱える妊婦さんに、オンライン遠隔医療が助けになります。

おなかの赤ちゃんの心音をデバイスを通して聴き、禁煙に成功したお母さんもいます。赤ちゃんの小さな心音はひとりひとり違っていて、まるでメロディ(旋律)のようなんですよ。

妊婦さんが不安な状況は、世界でも変わりません。直近の目標は自社の海外支店を設けること。いずれは支店を増やし、地域ごとの課題解決に向けた世界連携の強化を目指します。

「世界中すべての妊婦さんの健康と新しい命を守る」

それが私たちの理想であり、遠隔医療プラットフォームとしての未来のビジョンなのです。

 

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