前オーナーの鳥井省藏(とりいしょうぞう)さんは、1968年に入舟を創業した先代の父親から2003年に宿を引継ぎ運営しており、コロナ禍で客数が減少する中でも、設備改修を行うなど前向きに取り組んでおりましたが、ご家族の事情により継続を断念。これまで古民家改修で宿泊や美術館などの運営実績がある小豆島ヘルシーランド株式会社(以下、当社)に相談が持ち込まれ、2023年の12月に事業買収。当社社長の「50年以上続くこの灯(ともしび)を消すことなくお客様と宿との絆を引き継いでいきたい」という想いからリニューアルオープンするに至りました。造船所時代からは70年となる家業を繋いできた鳥井さんは「エンジェルロードはこの宿からの眺めが島内一、この宿を手放すのは娘を嫁に出すような感じ。大切にしてほしい」と話します。
当社は、社長の父である創業者・柳生好彦が取り組んできた「まち磨き」(古いものをうまく活用して新しい価値を見いだす)をモットーに、古民家を改修した宿泊事業を約10棟ほど運営しております。しかし今回は、長い歴史と根強いファンが存在する宿泊事業の継承という初めての試みです。ユーザーの感想を見ると、鳥井さんの人柄や親切な対応に海外からのお客様が感動したというクチコミが書き込まれており、ホスピタリティあふれる運営が大変好評だったことがわかりました。そこで、社長が自ら泊まり込みで宿直を担当。鳥井さんのアドバイスをいただきながら、宿の管理や運営方法を模索してまいりました。そこで見いだしたのはチェックイン・アウトなどの事務手続きを極力効率化させた運営と、過ごし方やアクティビティの提案ができるコンシェルジュ機能との両立でした。
古民家を改修した宿「縁川」「IROU」「oka-tei」などの当社が所有・運営する宿は、スタッフと対面することなくチェックイン・アウトを行うことができる、お客様のプライベート性が高い宿なので、気兼ねなく出入りができると好評です。さらに香川大学の学生の協力を得て、おススメの観光スポットやお店など周辺の案内地図を設置するなど、滞在を楽しんでいただける仕掛けも準備してきました。こうしたノウハウを活かして、入舟のリニューアルが進んでいます。7月からは大浴場の湯舟に「檜ボール」を浮かべた「檜の薫る湯」となります。
今回のオープンは8月末までの期間限定となりますが、9月以降は大浴場のボイラー改修を予定しております。また、瀬戸内国際芸術祭や大阪万博が予定されている来年度に向けた施策として、一部の部屋をアートを取り入れたテーマ性のあるものに改修していく予定です。より滞在が楽しくなる仕掛けを施してまいりたいと考えております。
施設名:海辺の宿 入舟
所在地:香川県小豆郡土庄町甲1171-14
宿泊料金:5,250円〜/人(2名1室、素泊まり、税込)
部屋数:11室
アクセス:土庄港から車で5分
オープン日:2024年7月14日~8月31日 ※9月以降は改修工事のため休館