高松市の玉藻公園と電車の構図はこれからも変わらないのか  《かがわコラム》

 文章に使った写真は富山市の北部を走るライトレール&富山地鉄の市内線。富山ライトレールは先頃地元の電鉄会社と経営統合して、富山市内の路面電車線と一体的な経営に切り替わった。


ライトレール(LRT)は鉄道線内なら高速走行ができ、市内線も揺れが少なく加速減速もスムーズ。車内は実に機能的かつ、清潔感に溢れているので、最新の鉄道線に乗っている感覚に近い。もはや昔の路面電車の呼び名は相応しくない21世紀の乗り物だ。


そして高架化された富山駅で従来は南北分断(北はライトレール、南は地鉄)されていたものを、晴れて富山駅下で連結できたから富山市の南部から北部まで都心を突っ切って直結することができたことが大きい。全国の45万人都市の中ではこれほど便利な街もないのではと思ってしまう。

パリが恋したLRT

パリには地下鉄網が縦横に張り巡らされているが、なんと一度廃止された路面電車が復活している。フランスは各地で廃止された路面電車が見直され、新設する街がたいへん増えており、首都でもついに花の都パリに登場と相成った次第。


20世紀初頭までは路面電車が主要交通機関だったが、それ以降は地下鉄の建設に押され、次第に廃止の憂き目にあっていた。

といっても昔は馬車が客車を引っ張るレトロな路面馬車のようなものだったようである。すでに90年代にはパリ郊外では路面電車が2路線開通しており、市内への乗り入れが実は待たれていた。

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欧州は90年代に各国でLRTの建設ラッシュが始まった。大都市のパリにも出来たことは、中都市から大都市へとそのLRT導入熱の動きが更に加速したことを意味する。

ゆくゆくは環状道路までで車を遮断、中心部でクルマを閉め出して移動手段は運行すれば、観光客にも分かり易いとても便利な乗り物になってこよう。郊外線の高速走行の線路の部分には緑の色が鮮やかな芝生を植えたり、電停のお洒落なデザインはさすがフランスと唸る。
日本とフランスは次世代型路面電車(LRT)について、お互いの活用策の意見交換などを行っており、環境をテーマに更なる議論の進展も期待される。やはり国が全面的に支援をすることが、導入への早道となるのだ。

日本の大都市では地下鉄はすでに導入が進み、地方都市では建設費の高さから今後、継続して導入する都市はないだろう。地下鉄運営会社は東京を除き赤字。そうなると既存の地方鉄道かバスにしか頼るものがない街がほとんどである。

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 建設が進む宇都宮市のLRT予想図
そんな日本では唯一、宇都宮市が市街地と東部の工場エリアを結ぶLRTを構想。日本の先輩他都市に習いながら計画を推進してきた。まだまだ県庁所在地クラスのそうした街には最新型の路面電車が手頃な中量輸送機関として、活躍する土壌が沢山あるわけだ。ましてや地球温暖化対策はまったなしの状況で、自動車を制限することでしか先進国では目標達成の選択肢が残されていない。宇都宮市のLRTの導入の取組に注目したい。来年夏にいよいよ開業する。

サンポート高松への延伸は必要だ

高松の中心市街地の再生にとっても、交通問題は切っても切り離せない。いかにスムーズに郊外の人を街中に誘導するか。いまだに鉄道が平面交差して主要な道路と交わっている箇所があるのは問題だ。LRTなら道路の中央をクルマと併走するので邪魔という意見もあるが、その部分は思い切って地下や高架を走らせても良い。
もっと柔軟な発想で都市内の交通政策を抜本的に改めることが重要。LRTシステムの導入はある意味理にかなっているのだ。

 すでに欧州基準では地下鉄の有無が都市のランクを決めるのではなく、LRTの導入がその街の先進度を測る物差しになっている。

もしそれが難しいなら高架線をサンポート 地区まで延長することで、新県立体育館のアクセス改善を考えて欲しい。

[まとめ〕
①富山市の路面電車は未来型に進化していた
②パリのような大都会でも路面電車を積極導入
③宇都宮市が2000年代初のLRT新設を目指し来年夏開業
③高松市サンポート地区のアクセス交通にはぜひLRT導入を

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