世界に向けて小豆島の「食と観光」を発信していく。料理人を中心にアーティストや研究者などと、”食べる”ことを通じた地域との交流や新たなアプローチ、小豆島の新しい価値の創造を。

瀬戸内海に浮かぶ小豆島では、地域の資源と資産を活用しながら、国内のみならず海外を巻き込んだ新しい小豆島スタイルを生み出していく小豆島ブランド実行委員会が立ち上がった。

小豆島ブランド実行委員会は、大阪のクリエイティブユニットgrafと共に2022年度から小豆島ジオフード構想を立ち上げ、2030年に向けた小豆島の食と観光の新たなプランを検討してきた。小豆島の地場産業の新たなマーケットへの開拓のため、高付加価値の商品開発や利益構造の改革を試み、来る未来へ向けて稼ぐ力をつけることを目指している。

地場産業の生産者とともに、ジオパークに関する調査研究者である香川大学特任教授長谷川修一氏によるジオフード勉強会を開催するなど、ジオフードの根元を学びながら活動している。

〈小豆島ジオフード〉

小豆島に根付く歴史や文化、島民の営みはこの素晴らしいジオを起源とします。地質・地形により育まれるさまざまな産業や観光は、 繋がり循環しながら受け継がれてきました。この豊かな自然環境を 守りながら、揺らぐことない文化を育て、世界中の人々とともに、 小豆島の大地を美味しく味わうためのプロジェクト。

2月には、小豆島ジオフードの可能性を探るべく、小豆島ジオフードダイニングテストイベントを開催した。世界に向けて小豆島の「食と観光」を発信していくために、料理人を中心にアーティストや研究者などと共に、他分野の叡智を横断する実験の場を共有。観光、食、アート、メディア関係者など各ジャンルの専門家の方々をお招きし、今後のジオフードの展開や指針を定めていくためのアドバイスをいただく時間となった。

《小豆島ジオフード テストイベント開催》

1. ジオフードリサーチ

ゲストシェフの船越雅代氏と約3日間、小豆島内のジオを感じる自然や石材加工場、地場産業のしょうゆ、素麺、佃煮、または生ハムの生産現場、鮮魚店、オリーブや野菜の圃場、自然の中での食材探しなど、小豆島の旬の食材をリサーチ。

2. ジオフードツアー
・マントル直結安山岩「神浦」
・風化浸食・変化に富む地形 「寒霞渓」
・地形と文化が発酵を支える「ヤマロク醤油」

3. ジオフードダイニング
会場となった小豆島オリーブ公園がある西村地区は、日本の産業用オリーブ発祥の地です。ジオがもたらす風土を活かしたオリーブ栽培は、恵まれた気候と先人たちのたゆまぬ努力により、世界的評価も高いオリーブオイルを育み、小豆島の文化として根付いている。
2月の小豆島では、牡蠣やのり、舌平目などの豊かな海の幸、柑橘やイチゴをはじめとするフルーツや、冬でも温暖で雨が少ない瀬戸内海ならではの天日干しの寒製そうめんなど、冬の味覚が揃っている。
ダイニングイベントでは、醤油やオリーブ、佃煮などの特産品とあわせて旬の食材をリサーチし、この季節ならではの小豆島ジオフードをお召し上がりいただいた。
この日のためだけに設えた、島内の素材を使ったテーブルウェアや醤油の木桶を用いた器など、小豆島ジオフードを五感で楽しめるイベントとなった。また、ゲストシェフ船越雅代さんのサポートとして、小豆島内のレストランで働く方や移住を検討している料理人が駆けつけた。
参加者からは、島民とのつながりを感じられるようさらに工夫が必要、知識だけでなく五感でジオを感じられる要素をどのように説明していくか、生産者が登壇してくれることで食材の背後のストーリーが語られ食の在り方や美味しさをメニューに語らせることができていた、質の良いものがたくさんあるからこそ同じ内容ではないイベントとして季節によって変わるのが島らしいのではないか、などのアドバイスをいただいた。

豊かな自然環境を守り、揺らぐことない文化を育て、大地を美味しく味わうための新たな試み。ジオとフードの間に介在する人の視点を確かに持ち、今後も小豆島ジオフードの活動がより良い内容になっていくことを願っている。

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