【後半】パンデミックで変わる世界に、学びは必要「リカレント教育」

パンデミックで変わる世界に、学びは必要「リカレント教育」

デジタル社会で活躍し続けるため、常に自身をアップグレードする学びの必要性は増すばかり。なかでも、社会人が生涯にわたって学びを続ける「リカレント教育」の重要性が指摘されています。

経団連は2020年3月、「Society5.0実現の鍵は人材である」として、来るべき社会の構築を支える人材を育成していく必要があることを明言しました。企業にとっても、最先端のデジタル技術を活用し、市場の変化にあわせてビジネスモデルを変革したり、新たな企業価値を創出できる人材の育成・確保が急務となっています。

セカンドキャリアとして大学院に進学した元・高松高校校長の出射隆文さん、リカレント教育の必要性を唱える四国リレーションズ 吉馴奈緒美代表から、「リカレント教育」を実践するヒントを探る、インタビュー後半です。

左から 香川大学大学院 出射隆文さん、四国リレーションズ代表 吉馴奈緒美さん

※「かがわ経済レポート」2021年12月15日号のトップインタビュー記事を再編集し、前後編でお届けします。

若い世代にも、「人生100年時代」の学びを

出射さん 前職で校長を務めた高松高校では、さまざまな分野で活躍している外部の講師の話を聞き、自分たちのテーマで研究を進めていく「総合探究」という授業を実施しました。

ある時は「四国新幹線」をテーマにJR四国元会長で顧問の梅原利之氏にご登壇いただきました。質疑応答では、高校生からの鋭い質問に対して、梅原氏が熱心に答えてくださり、白熱した時間になりました。こうした貴重な経験は若い世代の大きな刺激につながっています。

吉馴さん 本当にエキサイティングな授業でした。企業の経営者が、高校生と本気で向き合う必要性を目の当たりにしました。

生徒たちの将来の選択肢を広げるためにも、様々な形で高校生と本気で向き合う機会が求められます。

出射さん 高校ではまず基礎学力をつけるのが重要です。総合探究では内容を深めることも大切ですが、自分が何に興味があるのかに気づき、身につけた基礎学力をベースに総合探求の経験を大学や社会人になってからもつなげてほしいと考えています。

リカレント教育の推進

出射さん 先行きが見えない社会だからこそ、「人生100年時代のステップアップ」を、若い世代が意識しながら学んでほしいと願っています。この動きが大きくなると、社会全体に良い変化をもたらすのではないでしょうか。

例えば、30~40代でセカンドキャリアのために大学等に進むといった選択もあります。

学びをどこに、どのように求めてくのかが重要になってきます。

吉馴さん これからの時代は、多様なライフスタイルやライフステージの変化に応じたキャリアメイクがいっそう求められそうですね。

日本の就業構造を考えると、リカレント教育は仕事の中で実践しても良いと考えています。例えば自分の仕事に「どうしたらもっと効率的になり、誰もが同じ結果を出せるのか」「優位性を高めるには何が必要か」といった疑問を持ち、それに関する専門書を読んで体系的に考えるのもリカレント教育です。

さらに試行錯誤をして結果を出し、マニュアルにすることが出来たら知識を創造したと言えます。意識せずに実践していた、という方もいらっしゃると思います。

「society5.0」は知識基盤社会とも言われています。P.F.ドラッカーの『マネジメント』『ネクスト・ソサエティ』は来たる知識(基盤)社会に備えた書です。

新しい資源や人口増が見込めない国において、意識して知識を創り、結果を出す人材を増やす必要があります。 高校生の「総合探究」、社会人の「リカレント教育」が提唱されているのはそのためでしょうか。

出射さん 学びに年齢や立場は関係ありません。何歳になっても学び続けていくことが、人生100年時代において大切だと感じています。

 

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