医療法人のM&Aも増加中。専門家へ早めの準備と相談を!

売り手側の後継者不在等の理由で、一般企業のM&Aが急増している。一般企業でも、売り手側、買い手側双方に、成立までには多くのハードルが待ち構えている。特殊なケースのM&Aとなれば、さらに難易度、煩雑度は高くなる。

今年5月に開院した、医療法人社団観照会 かがみハーモニークリニック(高松市屋島西町 鏡原康介理事長 院長)は、M&Aによって承継した医療機関。診療科目は内科、循環器科、リハビリテーション。一般的な内科診療から、生活習慣病、循環器疾患、健診などに対応。

鏡原院長は「体全体の異常を見落とさないように、漢方薬など東洋医学の良き点を取り入れた医療を提供するクリニックとして、地域の患者に寄り添いたい」と抱負を語る。

譲渡側は、後継者がいないことから譲受先を探していたが、同じ診療科目への譲渡は難しい状況にあった。譲渡側の医療法人は、医療という本来業務と、介護事業の附帯業務を担っていたためである。

加えて、医療法人は保健所、四国厚生支局、香川県医務国保課、介護施設は高松市介護保険課が管轄という、各事業の所轄官庁の違いも、手続きを煩雑にさせる。介護事業は他の法人に譲渡という点が、各種申請においてタイミングの調整が必要であった。

岡山市で長く勤務医生活をし、故郷での開院準備を進めていた鏡原院長は、みどり合同税理士法人グループで医療・介護の開業支援などで実績を重ねる、㈱みどり医療経営研究所(高松市栗林町 白川哲也社長)にコンサルティングを依頼、スムーズに医療法人のM&A成立となった。医療法人の組織はそのまま引継ぎ、定款変更他で対応した。

鏡原理事長の家族、譲渡側の経営者、社労士が地域の医療機関を存続させるという使命感を持ち、資金調達をスムーズに進めた金融機関他関係者が、クリニックの名称通り『ハーモニー』したことが、成功の要因であった。

白川社長は「今回のケースは、単なるM&Aではなく、地域の医療機関としての使命を果たすために、存続させることにベクトルを合わせて活動したことがポイント。

附帯業務をおこなっている医療法人が、これからの事業承継で第三者承継しようとしても、本来業務と附帯業務をセットで引き継ぐことは容易ではない。一般企業の場合と同じく、早めの準備が必要だ」と、親族承継が困難な医療法人に呼びかける。

今後かがみハーモニークリニックは、地域医療、在宅医療の要として、ハーモニーしていくことが期待される。

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