【ミニインタビュー】ビッグデータで企業を救え 〜混迷する時代とデータ活用

1900年の創業以来、企業の信用調査会社として120余年の歴史を刻んできた㈱帝国データバンク。全国に83の事業所を持ち、近年はそのネットワークと膨大なビッグデータを活かした幅広い事業を展開している。

多くの企業にとっては苦しい状況が続く昨今。だからこそ、「データ活用でご支援ができれば」と、同社高松支店の道田祐一支店長は力を込める。四国最大規模を誇る支店のリーダーに、現在の取り組みや課題を聞いた。

▼これまでのご経歴は  

私の出身は岡山県。1997年に帝国データバンクへ入社し、広島県の福山支店で調査畑を歩みました。2007年に社内ベンチャーである㈱TDBフュージョン(東京都)に出向し、中小企業のM&A仲介業務を経験後、2010年に再び帝国データバンクへ。調査員としては延べ約6000社の信用調査を実施し、M&Aアドバイザーとしては延べ約400社以上の相談に乗ってきました。座右の銘は「一隅を照らす」。様々な企業にスポットを当てることで、企業をより輝かせたいと考えています。

▼御社の現在の事業内容は

中立な立場で、企業・団体の業績や財務内容といった経営状況を調査し、信用度の高さやその背景を報告書にまとめ、依頼者に届ける信用調査業が基幹業務です。調べる側と調べられる側、双方の経済活動を支援し発展につなげる、経済の潤滑油のような事業ですね。

ほかにも市場調査やCS調査、情報誌発刊、コンサルタント事業、研修・セミナー開催など、経営に必要と想定される情報・サービスを幅広く展開しています。更に近年は蓄積した企業のビッグデータを活かし、マーケティングなどに活用するデータベース事業も拡大しています。

▼拡大中のデータベース事業とは

企業データベースでは、商号、所在地、電話番号などの基本情報に加え、業績や経営者のプロフィール、取引先、評価点などを網羅しています。これは▽新規顧客開拓時に、条件に合った有望ターゲットを絞り込む▽既存顧客の経営状況を分析し、勢いのある企業との取引を拡大させるなど、営業面・管理面の両面でご活用頂けるものです。コロナ禍で訪問営業が難しくなり、またDX推進などの追い風もあったことで、データを活用した営業・管理の幅はますます広がりつつあり、様々な企業の皆様に役立てて頂いています。

▼四国・香川の景気動向に対する見解を  

今年9月に弊社が発表した景気調査では、四国地区の景気DIは前月から〇・六ポイント低下し、三七・七となりました。値上げが相次ぐ中で、第7波による感染者数の増加が追い打ちとなったようです。長期トレンドでは改善基調ですが、その改善幅は縮小傾向にあり、先の見通しに対する厳しい見方が強まっています。

香川県の景気DIは前月から〇・一ポイント増加し、三七・七と2ヶ月連続で改善しましたが、長期トレンドでは四国とほぼ同様の動きを見せており、一進一退の状況が続いています。

▼四国・香川の倒産動向は

四国地区の2022年8月までの倒産件数は累計で58件。前年同時期(91件)を下回る低水準にとどまっています。香川県の同年同月までの倒産件数も14件と、前年同時期を下回っていますが、実際の経営環境は四国・香川ともに前年に比べ大きく異なります。

食品や日用品、耐久消費財など幅広い分野で値上げが継続している上、エネルギー価格の高騰などが企業の生産・流通・販売活動に影響しており、賃金の引き上げが物価の上昇に追いつかない状況です。今後は個人消費が落ち込むことも懸念されます。 政府の資金繰り支援策によって、当面の倒産急増はないと思われますが、業績改善が進まなければ、持ちこたえられずに行き詰まる「不況型の倒産」が増える可能性が高いでしょう。

▼こうした情勢下における、高松支店の課題とは

香川県、高松市は経済都市として非常に発展していて、他県に比べると弊社の評価点も高い優良企業が多くなっています。内部留保の厚い企業が多いのでしょう。 一方で、直近2期で連続して売上高を伸ばしている企業はわずか七・八八%。10社に1社もありません。これが5期連続増収となると一・一七%、100社に1社程度となります。

ありがたいことに、私達は調査機関として皆様から多大なご協力を頂いていますが、データ活用の幅を広げるお手伝いがまだまだ十分にできていない。企業経営やその成長をデータ活用でご支援できれば、これほど嬉しいことはありません。1社でも多くの企業に、データ活用による経営効果を感じて頂くため、効果的な発信をすることが課題だと感じています。

▼今後、目指す高松支店の姿は  

私達のミッションは地域の企業・団体に寄り添い、業績に貢献し、地域経済を活性化させること。そのために正しい情報を入手し、素早く適切に発信できる人材を育成するとともに、その仕組みを作ることが支店長である私の役目だと考えています。

調査員は企業のドクターのような存在。取材をする中で企業の健康状態を把握し、決算分析によって数値の裏付けを取って、精密検査をおこないます。そして、健康状態によっては様々なご支援をさせて頂きます。

「困ったときには帝国データバンク」。皆様からそうお声を掛けて頂けるよう、地域のビジネスパートナーとしてなくてはならない存在になりたいですね。

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