【かがわコラム】芸術・スポーツの秋を迎え、公共施設整備を考える

香川県県民ホールが、2027年から改修に入ることが発表された。2000席という、他県と比べても遜色ない大型の公共文化ホールが一時的に利用できなくなることは、これまで使っていた身からすれば期間中の文化活動における大きな損失となることが懸念される。

しかし、その穴を埋めるかのように、丸亀市民会館(シアターマド)が今年9月に開館し、新たな試みでの自主公演などにも期待が集まっている。これにより、サンポートホール高松、シアターマド、ハイスタッフホールと、県内に3つの千席オーバーの公共ホールが出そろい、県民ホールが使えない期間の県民の文化へのニーズを支えることになる。

築30年を経た香川県民ホールも、これからの香川の文化を支え続ける重要な存在であり続けるには、ここで立ち止まることも必要である。一方、すでに人気を博している観音寺市のホールや、丸亀市に新たに誕生する文化ホールは、市民の財産として地域文化の向上に寄与する役割をしっかりと担っていく。国内外のアーティストによる公演はもちろん、演劇や歌舞伎、地域の発表会、学生たちの吹奏楽など、公共ホールが果たす役割は多様な文化活動になくてはならない存在なのだ。

徳島県では長らく、1000席を超える規模の文化ホールが存在しない状況が続いている。県民にとって、演劇やコンサートといった本格的な文化活動を鑑賞したり、自らの成果を発表したりする場が圧倒的に不足しているのだ。発表会やイベント開催の際には、香川県や愛媛県など、わざわざ県外のホールを利用せざるを得ないのが現状。これは時間的経済的にも大きな負担となり、多くの県民が不満を抱えている。基本的な県民サービスが提供できていない。

この問題の背景には、過去の経緯が複雑に絡み合う。老朽化により閉鎖された旧ホールの後継施設をめぐっては、県と徳島市の間で意見の対立が続き、計画は二転三転してきた。近年の建設費の高騰も相まって、結果、県民は「文化ホール空白地帯」という不便を長年強いられている。

文化施設の不足は、単に娯楽が減るという話に留まらない。県外への人口流出にも影響を及ぼしかねない深刻な問題である。特に若い世代は、進学や就職を機に文化的な刺激の多い都会へ出てしまい、地元に戻らないケースが増える。文化的な豊かさは、その地域に住み続けたいと思えるかどうかの重要な要素の一つ。しかも徳島と関西地方は目の前だ。高速バスで日帰りできる距離。

徳島県が文化的な魅力を高め、県民が誇りを持てるような地域を築くためには、新ホールの建設は避けて通れない課題。しかし乗り越えるべきハードルは山積して、新ホール問題は、単なる公共施設の話題ではなく、徳島県の未来を左右する重要なテーマである。

★豊橋市のアリーナ問題のその後★

豊橋市では、Bリーグに所属のバスケットボールチームのホームアリーナ建設を巡って、市民を巻き込んだ大きな騒動に発展。建設に反対する市長が当選し、すでに着工した工事を中断。さらに多額の違約金を払ってまで契約を解除しようとしたため、アリーナ推進派が反発し、最終的に住民投票が行われる事態となった。住民投票の結果、アリーナの建設は再び進められることになったが、この一連の騒動で多くのものが失われた。

計画が中断したことで工事の遅れが生じ、その間の資材費や人件費の高騰により、当初の見積もりよりも建設費用がアップすることは避けられない。市民に何のメリットもないまま、税金が余計に使われることになってしまったのだ。

この豊橋市の事例は、徳島市の新ホール問題とも共通している。首長が選挙で替わるたびに、長期間にわたる公共事業の計画遂行が揺らぎ、その影響を市民が直接受けるという事象は、日本各地で頻繁に起こってきている。

最近では、建設費の高騰により新規の公共工事が停滞したり、計画が中止になったりするケースが増えている。たまたま計画が今の時期になった悲劇。だからこそ、今ある施設をしっかりとメンテナンスして長く使い続ける重要性は、ますます高まっていると言える。

公共事業は、計画から完成まで数年、時には10年以上かかることも珍しくない。この長い期間に、政治の方針転換や社会情勢の急激な変化が加わることで、計画の変更や中止が起こりやすくなる。

例えば、資材費の高騰や人件費の上昇といった経済的な要因も、計画の見直しを余儀なくさせる大きな理由の一つだ。結果として、それまで多額の税金が投入されたにもかかわらず、プロジェクトが頓挫したり、計画が大幅に遅れたりするケースが後を絶たない。

市民は、本来享受できるはずだったサービスや施設を失うだけでなく、これまで支払ってきた税金が無駄になってしまうという不利益を被ることになってしまう。こうした問題を避けるためには、長期的な視点に立った、安定した公共事業のあり方を模索していくことが重要ではないか。政治のリーダーシップだけでなく、市民や専門家を巻き込んだ議論を通じて、社会全体で合意形成を図る仕組みが求められているのかもしれない。

公共事業の透明性を高め、計画段階から市民が積極的に関われるような仕組みを作っていくことで、選挙結果に左右されにくい、安定したまちづくりが進んでいくのではないだろうか。

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