【小豆島】国指定重要有形民俗文化財「中山農村歌舞伎舞台」大規模改修へ。 昭和52年以来、過去最大の工事と伝統を守る地元の人々

画像1  小豆島、千枚田が広がる中山地区では、地元住民らによる伝統芸能、農村歌舞伎が続けられている。豊穣の感謝を込めて春日神社に奉納される小豆島農村歌舞伎は県指定無形民俗文化財として中山農村歌舞伎保存会が役者から太夫、裏方の全てを地元民で担い守り続けている。18世紀頃から続く小豆島の農村歌舞伎は、かつて島内150ケ所で上演され、今でも歌舞伎舞台跡が各地に残る。現在は肥土山農村歌舞伎舞台と2ヶ所のみが現存し、肥土山では5月、中山では10月に農村歌舞伎舞台が見られる。

画像2 三番叟から始まり、子どもらによる白浪五人男、夏から練習に励んだ地芝居は、ここ数年、地元の人たちの娯楽だけでなく、瀬戸内国際芸術祭などを機に国内外から見物人が押し寄せる人気となった。コロナ禍の2年間は三番叟のみの奉納、また最後の一年は今年から補修工事に入るとあって大きく告知をせずに全3幕を開催。告知なしでも噂を聞きつけた人々が訪れ、桟敷と呼ばれる舞台前広場はいつの間にか多くの人で埋まっていた。

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舞台は、正面12、2m奥行き10、0m。シロアリによる被害、元々地元大工が地元の素材を寄せ集めて作ったのでは、と工事関係者が言う舞台は、経年劣化による建物の傾きや歪みが出ており、支持力の補強、基礎、構造の補強がおこなわれた。今後は土壁を入れ、石積みの壁等を再現していく。2021年から調査、設計がおこなわれ、2022年から2023年の工事、11月完成を目処に半解体修理中。財源は国庫6/12、県費2/12、町費3/12からの補助金と残り1/12は地元から集めたものとなる。事業費は現在約8600万円が予定されているが、変更増の可能性が高い。地元民の負担は1000万円近く。

画像4 中山地区は約100世帯230名。内78歳以上で高齢者として老人会に加盟しているのは80名。地元のシンボルとも言える舞台を守ろうと皆、出資をしたが今後の管理を考えると不安だと中山自治会の井口平治会長。「大事な舞台だが、これ以上の負担が厳しい。伝統行事を守っている事を多くの方に知って貰い、受け継がれてきた中山農村歌舞伎が次の百年を目指せるようクラウドファンディングを開始しました。700万円を目標に、8月31日までの開催です。どうかよろしくご支援を願います」と、子どもの頃から、当たり前のようにあった歌舞伎舞台の工事の様子を見守りながら訴える。

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