【旺建と九大が共同実験】県産ヒノキ材の有効活用へ  ㈱旺建

ハウスメーカーの㈱旺建(高松市春日町一六三−一 安守直敏社長)はこのほど、九州大学(福岡市 石橋達朗総長)と共同研究契約を締結した。10月末にも、香川県産ヒノキの香り成分が人体に与える好影響を分析・研究するため、共同実験を開始する。

雨量の少ない香川県産のヒノキは、時間をかけて成長するため年輪が均等で歪みが少なく、住宅用建材として優れることで知られるが、一方で精油の収量が多く、香りも強いという特徴を持つ。産出地域によって香り成分の効果も変わると想定し、今回の実験によって県産ヒノキの成分効果を明確化するという。

実験には8名の被験者が参加し、県産ヒノキ材を施工した部屋と、そうでない部屋とで精神負荷課題(算術課題)に挑戦する。測定項目は主観評価、心電図、香り成分分析の3項目。ヒノキの香りによる生理反応と心理反応を調査した上で、ヒノキの香り成分と生理・心理反応の関係性を検討していく。データ解析の終了は来年1月、結果報告は来年2月を予定。

安守社長は、「香り成分の効果が明らかになったら、高齢者施設や医療施設、児童福祉施設等での県産ヒノキ材の活用を目指したい。高齢者を癒すには、子どもの集中力を高めるには、どの程度の容積の部屋にどれだけのヒノキ材を使えばよいのか、具体的な数値を踏まえて考慮し、設計したい。まだまだ注目度が低い県産ヒノキを、世界に向けてブランディングすることが、今の自分の使命だと感じている」と瞳を燃やす。

同社では森林総合研究所(茨城県つくば市)との共同研究を経て、今年2月にヒノキの根株精油抽出に関する特許を取得しており、7月には根株の豊富な精油や、精油抽出時に生まれる芳香蒸留水、残渣等の成分分析を進める『香川ヒノキ研究所』を設立。分析結果によっては、化粧品等の高付加価値商品への活用も目されており、県産ヒノキの更なる可能性の拡がりが期待される。

タイトルとURLをコピーしました