※起業ができる複合施設オープン!「麦縄の里」で広がる”エシカルの輪”の後編です。
※7/8追記:フードトラックの出店情報。7月中はイベント出店のみ、8月以降は未定です。
飲食の移動販売車「フードトラック」が右肩上がりに増えています。
テイクアウト需要が高まり、経営の手軽さもあって、飲食経営者はもちろん起業を目指す若者からの関心も強くなっています。
新型コロナが猛威を振るう昨年5月、香川県高松市を拠点にフードトラックで起業した寺井 司さん(23才)。
そのわずか1年後には4店舗まで事業を拡大させ、㈱種蒔く人の共同代表を務めています。見据えるビジョンは「持続可能な地域づくり」と話します。
寺井さんは香川県さぬき市出身。子供の頃からお菓子を作って家族に喜んでもらうことが好きだったそう。製菓専門学校を卒業後、夢だったパティシエとしてホテルに勤務していましたが、「お客様との接点を持ちたい」との想いから石垣島のゲストハウスへ転職。
次に経験したのが、石垣島のフードトラックでした。観光客のみならず、地域の人たちがコーヒーとおしゃべりを求めて、気軽に立ち寄ってくれるところが印象的だったといいます。「フードトラックは地域の憩いの場になっている。自分のやりたいことだと感じました」。そして、自分の店を持つことを決意しました。
クラウドファンディングでフードトラックを起業
開業資金はクラウドファンディングで調達。170人以上の支援者は、なんと全員が実際に会った人たちだといいます。
「石垣島のゲストハウスや、これまでに少しでもお会いした方に『お店を持ちたい』というお話をして、SNSでつながってきました」。小さなつながりが大きなエールになった好例です。
当初、瀬戸内国際芸術祭でにぎわう直島でドリンクスタンドを計画していましたが、コロナ禍でふりだしに戻ってしまいました。飲食店のオーナー達から「地域に根ざした店はむしろ客足が増えている」と教えられ、地元から愛される店づくりを志すようになります。
コーヒーを飲みながらのおしゃべり会を意味する『クラッチコーヒー』と店名を冠し、高松市内などで移動販売をスタート。フランスの焼き菓子・カヌレとコーヒーを提供したところ、あっという間に評判が広がりました。
看板商品のカヌレはカリッと香ばしい小ぶりサイズで、抹茶やエスプレッソなど8種を用意。”SNS映え”する見た目で、手土産にする人も多いそう。
シェア型など4店舗経営
大きな転機は今年4月。シュークリーム専門店『市 ichi』(高松市 市原大和オーナー)とのシェア型店舗を高松市に構え、㈱種蒔く人を市原氏と共同設立しました。
同社のスタッフは平均年齢22才の若手7人。Z世代の柔軟な発想で商品開発を行い、原材料のこだわりを丁寧に伝えるなどサービス向上に力を注いでいます。
現在は4つの店を経営。移動販売、カヌレ店・シュークリーム店(シェア店舗)のほか、ドリンクスタンド『うつろい』もオープン。人気の商品は午前中に売り切れてしまいます。
「平飼いたまごなど、大切に育てられた材料を使用しています。私たちの商品を通じて、人や環境にやさしいエシカルの考えを知っていただき、持続可能な地域づくりにつなげたい」。
エシカルな想いを持つ人たちを応援しようと、飲食店の開業相談にも応じています。
※本記事は「起業ができる複合施設オープン!「麦縄の里」で広がる”エシカルの輪”」の続編です。