駅ビルはまだ伸びる?! 駅ビル事業に着目する流通業にとっての駅ナカビジネスの未来🏚 《かがわコラム》

 

使い勝手が悪いスペースを生まれ変わらせた駅ナカビジネスも開発が進んだ

今や日本の流通業界では敵無し、“日本のウォールマート”、流通業界の巨人であるイオン。しかしDXと言われるネット戦略は本家とは遠く及ばないがと書いたのだが、JR東日本という鉄道業界の巨人とすでに2005年に包括的業務提携を結んでいるというのはたいへんな強みだ。2009年には新たに駅ビル事業で提携しマネジメントのお手伝いをしている。当時は両社は電子マネーの分野でも提携しており、首都圏という肥沃な土壌をいかに耕すかお互いの知恵をもちより更なる秘策を練っていると思っていたが、その後の動きはあまり目立たない。

JR東日本はその際にいくつかあった駅ビル運営会社を合併させて競争力アップを図っており、2000年代に全国に巨大なショッピングセンターを怒濤のごとく展開したイオンモールと組む事で相乗効果が生まれるのではとの期待が示されていた。

 

イオン=旭川駅ビル店、JR東日本内駅ビルマネジメントは成長しているか

JR東日本は東京・横浜などの主要ターミナルの駅ビルや、コンコースなどを活用したいわゆる“駅ナカビジネス”ではJRグループでも先駆者であり、課題であった首都圏の外周部分の衛星都市などにある小・中規模の駅ビルをてこ入れしている。こうした都心の外周の衛星都市にはこの時期、続々とイオンやららぽーとなどの超大型ショッピングセンターが2000年代初頭から出店している。

 当時は、利用客の多くが東京の23区の都心エリアに通勤するため、高額のブランド品の買い物は勤務先近辺の副都心や都心の高級店舗でショッピングを楽しみ、反対に身近な日常品は週末に郊外のショッピングセンターを利用するといった使い分けが浸透していった。そのことで、副都心の駅ビルはいつの間にか乗り換えのための通過点になってしまっていたような状況が生まれた。地方に比べると通勤者が多いので店の前を通る鉄道利用客数は圧倒的に多いのだが、来客数はあっても売上が伴わない。同時に競合する魅力のある店舗もまた多い立地なのである。

片やまちづくり三法の改正施行で郊外の大型店出店がままならなくなっていたイオンを中心とする流通各社であるが、ここ数年のうちに新たな儲け口を見つけないと成長を維持させることが出来なくなるという危機感。既にイオンは中心市街地の駅前立地で店舗展開に本腰を入れていて、その中心は駅ビルへの出店となっていた。従来、関東圏の店舗網が手薄であったイオンにとっては、JR東日本と組んだことは願ってもないことであると言える。

その反対にセブン&アイホールディングスは従来からの駅前の繁華街立地の店舗を閉鎖して郊外に新たなショッピングセンターを開設。両者の方向性は反対を向いた。

低迷する百貨店業界にあって駅ビルに入店するデパートは稼ぎ頭に

 売上げの前年割れが半ば日常化して斜陽産業とも言われる百貨店においては、唯一と言っても良いほど主要な駅ビルに入店している幾つかの大型店舗の売上は好調に推移、まだまだ宝の山と言ってもいい。

ただコロナ禍を経てアフターコロナと呼ばれたタイミングで果たして、どれだけのワーカーがまた鉄道会社を利用してくれるのかは未知数だ。電子マネー機能を付加されたICカード型乗車券の普及で、今まで以上に駅周辺での自社顧客を通じた物販収入を伸ばし易い素地が出来ている。

 

東京=東京駅大丸、新宿小田急、新宿京王、池袋西武、池袋東武

大阪=大阪駅大丸、梅田阪急、梅田阪神、あべのハルカス近鉄、上本町近鉄、難波高島屋

名古屋=JR名古屋高島屋

福岡=博多阪急

札幌=札幌大丸

政令都市以上の主要駅の駅ビルは一人勝ちの様相。百貨店各企業のドル箱店舗をいかに大事に育てて行くのか。デパートの生き残りにも駅ビルの存在は大きなものとなっている。

 (まとめ)

ただ単なる場所貸し業から脱皮できていない売場には誰も振り向かない。そうした時代遅れの専門店街をイオンがどのように改革し、大人が来るようなお洒落な売場とする。坪あたりの売上を上げないといけない駅ビルの売り場でいったい何を販売するのか。ちなみに香川県にはこれまで駅ビルといえるのはことでん瓦町駅ビル「フラッグ」くらいであった。そこにこのほど計画が発表されたのがJR四国の高松駅ビルである。都会の駅とは圧倒的に駅利用者数が違うので、同じようなモデルを持ってくる訳にはいかない、では高松にフィットした規模と内容とは。駅を中心としたサンポートの街づくりに期待をしたい。

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