グラングリーン大阪「VS.(ヴイエス)」にて好評開催中の「安藤忠雄展|青春」。
会期中には、安藤忠雄氏のギャラリートーク&サイン会を不定期で開催している。来館の予定は、直前にWEBサイトや、VS.の公式インスタグラムアカウント(@vsvs.jp)で告知する。当日、急な時間変更や中止となる場合もあるものの、ご了承いただいた上で、ぜひご来館ください。
人口3,000人の島が、世界に誇る「アートの聖地」になるまで
会場には学生・家族連れ・海外からも多くの来場者でにぎわい、ときには安藤節に笑い声が溢れるシーンも。ギャラリートークでの安藤忠雄氏のお話を一部ご紹介。

「1988年に福武書店(現・ベネッセホールディングス)の福武總一郎さんが『この島を、世界一の芸術の島にしたい』といってきたんです。岡山・宇野港から島への移動は、船に限られるし、そんなところに誰が行くんだろうと。でも福武さんには絶対やるという信念がありました。それにかけてみようと。それから何十年もかけて一歩一歩夢に向かって進み続け、そして今、人口約3,000人の島は、世界中から年間70万人が訪れる、アートの聖地と呼ばれる場所になった。これはひとえに福武さんの夢を信じる力、その持続力の成果です。でも一方で落とし穴もあります。船の運転手がいない。こうなったら瀬戸内海を泳いでいってもらうしかない。本当に時代がものすごい勢いで変わっていて、今まで通りにはいかないこともどんどん出てきている。どうやってこの荒波を泳ぎ切るか。特に若い人は、しっかり考えていかないといけません。新しい発想と行動力を持ってね。」
37年目 直島の物語をみつめて


今回の展示では、1992年「ベネッセハウス ミュージアム」から、1995年「ベネッセハウス オーバル」、1999年「家プロジェクト『南寺』」、2004年「地中美術館」、2006年「ベネッセハウス パーク」「ベネッセハウス ビーチ」、2010年「李禹煥美術館」、2013年「ANDO MUSEUM」、2020年「ヴァレーギャラリー」、そして今年5月31日にオープンした「直島新美術館」まで、10もの建築を一望にする。生物が増殖するように成長を重ねる、このアートと建築のコンプレックスの37年に及ぶ物語を、模型と音楽映像が一体となった空間インスタレーションで魅せている。
ともにつくる船、ともにつくる未来


「こども図書館船 ほんのもり号」は、安藤忠雄氏が19トンの小型船を自ら購入、移動式図書館として改装し、香川県に寄贈されました。子ども向けの本約2,000冊を乗せ、4月24日に就航、男木島、小豆島、直島など瀬戸内海の島々を巡ります。
創造力や好奇心をはぐくむ、本との出会い
「人間の脳には、右脳と、左脳があります。まだこの世にないものを思い描き、形にしていく。それが右脳の働き。けれども日本の教育の仕組みは、知識偏重型、徹底的に左の脳ばかりを鍛える。だから創造力のない大人ができてしまう。面白いことを考えられなくなるんですね。だから子どもの時に、もっと自由な発想や好奇心を伸ばしてやらないと。こども図書館船 ほんのもり号は、そういう思いでつくった、子どもたちの無限の好奇心を引き出す船です。瀬戸内海の島々を巡り、本との出会いを届けていきます。ありがたいことに、本は多くの方からの寄付で集まりました。香川県が運営、船は私が、そして本を市民が用意したんです。『未来を担う子どもたちがすくすくと育つための場所を整える。』
これは、今を生きる大人の責任ですからね。官民の垣根を超えてやっていかないといけない。『こども本の森』プロジェクト、私もいける所までがんばるつもりです。」と、安藤忠雄氏はこのプロジェクトに込める想いを語ります。
展覧会カタログもしくはトートバッグを購入で、ご来場された方のお名前をサイン
ギャラリートーク開催時(不定期開催中・日時限定)には、ミュージアムショップでサイン会が行われる。展覧会カタログもしくはトートバッグをご購入いただいた方に、安藤忠雄氏がサインと皆様のお名前をお書きする。世界に一冊の展覧会カタログとして、ご鑑賞の記念にぜひお買い求めください。


大阪・関西万博に国内外から多くの注目が集まり、今年は瀬戸内国際芸術祭(春・夏・秋会期)も開催され、いま西日本の地域とアートに熱い目線が向けられる中、ぜひグラングリーン大阪VS.(ヴイエス)にもお立ち寄りを。「安藤忠雄展|青春」の会場には、走り続ける安藤忠雄氏からのメッセージや、希望を持って生きるためのヒントがたくさん埋め込まれているはず。
○学生料金の方は、入場時に学生証等をご提示ください。ご提示がない場合は、一般料金になります。中学生以下は入場無料です。(中学生は学生証等を提示、小学生以下はその旨をお伝え下さい。)
○障がい者手帳などをお持ちの方(同伴1名を含む)は900円(要証明)。
○チケット販売:VS.公式WEBサイト、VS.チケット売場(会期中の開館日のみ販売)、チケットぴあ、KANSAI MaaS