四国発の宇宙開発企業として注目を集める㈱Space Boar(高松市 岸川俊大社長)は、新型ロケットエンジンの開発を主軸に据え、「四国からロケットを打ち上げる」ことを長期目標として掲げる。
同社は2024年3月に設立。30年までには、ロケットエンジンのライセンス取得を目指す構えだ。
代表を務める岸川社長は、これまで香川県内の宇宙開発プロジェクト「Sanuki Astro Project(サヌキ・アストロ・プロジェクト)」に参画し、ロケット開発に携わってきた。
「もともと宇宙飛行士になることが夢であり、宇宙に対する想いを抱いていた」と話す岸川社長。自身の技術力を礎にしながらも、「安全性と社会実装の両立」という次なる課題に挑むべく、株式会社へ転換するという形で同社を立ち上げた。
また、エンジン開発と並行して、県内の高校を対象とした宇宙教育にも注力。
「ペットボトルロケットの打ち上げにおいても、『飛んだから成功』ではない。水の量・圧力・気圧・天候、その他の要素を勘案しながら、どのように打ち上がったから成功・失敗だったかを考える力を養うことが重要」と説き、出張授業という形で、若年層に向けた人材の育成にも力を注いでいる。
一方、関連会社であるASTRODAO合同会社(高松市)では、徳島・高知両県を中心にロケット発射場の候補地選定にも取り組んでおり、地域と連携した宇宙インフラの整備も視野に入れる。
岸川社長は「ロケットエンジンの開発に関しては、ある程度、社会実装できる段階に到達できたと考えている。
しかし、お客様のニーズに応えられる推力のエンジン開発を進めるためにも、徳島・高知での発射場の整備を進めることで、実証検証に努めていきたい」と挑戦心を燃やす。
今後の展望については、「弊社の活動に共感いただける企業様との輪を広げながら、メイドイン四国のロケットで宇宙に到達できるよう目指していきたい」と、方向性は明確。
民間企業とのネットワークの拡充も視野に入れており、将来的には自社開発したロケットエンジンの商用化、販売にも意欲を見せる岸川社長。
宇宙を目指す小さな一歩が、地方発の大きな一歩となる日は、そう遠くないのかもしれない。