【観光客の増加に合わせた宿泊施設の不足が露呈する】直島の宿泊需要に応える新たな民泊施設 約5億円投じ11室を整備

民泊運営などを手掛ける㈱スパーキー(直島町 町川いくみ社長)はこのほど、伊予銀行、商工中金の支援を受け、新たな宿泊施設「SPARKY’s House HONMURA(直島町1057)」を開業した。
総投資額は約5億円で、11室を整備。国内外から観光客が訪れる「アートの島」直島で高まる宿泊需要に対応するとともに、地元企業ならではの視点を生かした施設運営を目指す。

同社は2023年6月設立。直島島内で溶接・鳶工事を手掛ける関連企業の㈲町川組から民泊事業を引き継ぎ、「SPARKY’s HOUSE」を運営するほか、飲食店「創作料理Toshi」も展開している。今回の新施設では、これまでの宿泊事業で培ってきた経験を生かし、施設の企画・運営に取り組んだ。

背景にあるのは、直島を訪れる観光客の増加に伴う宿泊施設不足だ。地中美術館や家プロジェクトなどを目的に国内外から多くの旅行者が訪れる一方、観光シーズンには宿泊先の確保が難しく、「直島に泊まって、島の暮らしや文化、自然をゆっくり感じたい」という旅行者の需要に十分応えられていない状況もあるという。
町川社長は「宿泊事業に携わるなかで、日帰りではなく、直島に泊まってゆっくり過ごしたいというお客様が多いことを実感してきた」と話す。
こうした需要を踏まえ、より快適で安心して滞在できる宿泊施設を整備しようと、今回の大型投資を決断した。

施設づくりでは、単に客室数を増やすだけでなく、快適性や清潔感、デザイン性に加え、日本のおもてなしを感じられるサービスにもこだわった。
また、人手不足が課題となるなか、スタッフの動線や客室、設備、清掃のしやすさ、将来的な維持管理まで考慮した施設設計としている。

近年はインバウンド需要も顕著に増加している。

町川社長は「直島で外国の方を見かけない日はなく、島の方よりも多く観光客の方と会って挨拶を交わすこともある」と、現場で感じる変化を語る。外国人旅行者からは「直島に泊まりたいが部屋が取れない」「食事をしたいがレストランが見つからない」といった声もあることから、多言語での案内やキャッシュレス決済、Wi―Fi、荷物への対応など、訪日客が安心して利用できる環境づくりにも力を入れていく。

一方、直島ではベネッセハウスやマンダリンオリエンタルホテルなど、島外資本による宿泊施設の進出も相次いでおり、こうした動きを町川社長は「直島が世界から注目され、観光地としてさらに発展している証」と前向きに捉え、地元企業だからこそできる宿泊施設の在り方を追求する。

「単に建物や客室を提供するのではなく、『直島に泊まること自体が旅の思い出になる』ような場所をつくりたい」と述べ、島の風土や景観、地域文化を大切にしながら、地域とのつながりを生かした温かみのあるサービスを提供していく考えだ。

今後は、島内の飲食店や観光施設、交通事業者、地域住民との連携を深め、宿泊客を島内のさまざまな場所へ送り出すことで、地域全体への経済効果につなげる。また、地元雇用の受け入れや、地元食材を活用した特産品の開発・販売なども視野に入れる。
「島外資本には資金力や規模という強みがある一方、私たちには直島を知り、島で事業を続け、地域の方々とのつながりを持っている強みがある。この『地元だからこそ持てる強み』を最大限に生かし、外から来たお客様と島の人々をつなぐ宿泊施設にしたい」と方向性を示した。
宿泊事業を通じて地域とのつながりを深めながら、直島の観光振興と地域経済の活性化に貢献していく同社の展開に注目していきたい。

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