童心に返る喫茶店の味 ハイカラデザートも華 【AZUMAYA】

「最初はお寺の境内で、ぜんざいを作っていたんです。戦後すぐの、お砂糖も小豆も手に入りにくかった時代だから、ぜんざいはすごく喜ばれて…」。店長の福田トシエさんは、目を細めながらそう語ってくれた。喫茶店としてスタートしたのは、1947年のこと。中央通りと美術館通りが交わる一角で開かれたその店は、街のオアシスとしておよそ60年にわたり市民に親しまれた。

多くの人々の胸に忘れ得ぬ思い出を残しつつ、紺屋町の店は閉店。その後、栗林公園を前にしたホテルの一階に居を移し15年が経つ。

既になくてはならない老舗へと成長したアズマヤだが、その看板メニューのひとつが「アズマヤのうどん」(550円)だ。名店、松下製麺所の麺を使い、高台付きのあでやかな丼鉢で供されるかけうどんは、「喫茶店のうどん」として一ジャンルを築いている。「喫茶店を始める前に、讃岐なのでうどんも作っていたんですよ。季節に合わせて、タケノコや松茸入りのうどんを出して。それがやめるにやめられなくて、今もお出ししているんです」

毎年11月からは、温かいしっぽくうどん(680円)もお目見えし往年のファンを喜ばせる。今年はやや寒い日が続いたため、10月中旬に提供を開始。大根、にんじん、長天、小芋にこんにゃくとたっぷりの具材が嬉しく、体がぽかぽかと温まる。薄味の上品なだしからは、ほんのりと野菜の風味が感じられる。

食後のデザートは、名物「ローゼ」(700円)がお決まりの品。シュー生地から波打つようにあふれ出る自家製ソフトクリームは、ジェラートとアイスクリームの中間の食感を目指したといい、シャリ感と舌触りの滑らかさが好バランス。食べ進めると、底からカスタードクリームとともにみかんやパイナップルが現れる。うどんをセットにすると、100円引きになるのも心憎い。

無論、カニフレーク入りのホットドッグや、パイ生地でソフトクリームを挟んだペルルなど、アズマヤオリジナルの逸品は他にも多数。紺屋町時代より、ランチのバリエーションも増えている。

 「たまには気分転換で、こういう店に来て頂けたら。バスの待ち時間の利用もOKですし、お仕事の商談もリラックスして進められますよ」

営業時間は7時~18時。月曜定休(祝日の場合は翌火曜休)。駐車場は近隣のコインPを利用のこと。

AZUMAYA 

高松市栗林町1-3-1 ホテルパークサイド高松1階

tel.087-837-5676

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