【瀬戸内小豆島】コロナ禍、伝統を守る香川の農村歌舞伎

10月3日、小豆郡小豆島町中山、千枚田と呼ばれる棚田の麓、春日神社では地元自治会の祭事が行われた。同地区の中山農村歌舞伎保存会(久保 政会長)は、昨年に続き、国の重要有形民俗文化財である茅葺き屋根の舞台で『三番叟』を奉納した。

江戸時代中期から続くといわれる小豆島の農村歌舞伎。地元だけでなく全国、海外から見学に来る人が絶たなかった。2年連続、華やかな奉納歌舞伎は中止され、神事の際の奉納のみとなっている。

 

本来であれば、東西23,33m、南北13,94mの舞台での演目は、毎年、三番叟に続き、子供歌舞伎、熱のこもった演目2題が演じられ、野外の桟敷は人で埋め尽くされている。

夏には演目が決定し、仕事帰りの役者らが毎夜、稽古に勤しむ。同時に、道具方と呼ばれる大道具を準備する人、また衣装の繕い、準備をする衣装方、当日に役者の顔を作る化粧方と、地域の人々の役割が決まっている。

 

同保存会の久保会長は、 「昨年は、これからどうなるんだろうか、という不安だけだった。今年は、自分たちの代でやめるわけにはいかないという保存会の皆の意識を感じた」と話した。

 

緊急事態宣言の明けたこの日は、遠方からたまたま訪れた観光客も賑やかな農村歌舞伎の風景を楽しんだ。

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