さぬき市の津田地区は、近年若者や観光客が集まるなど新たな賑わいが出てきているが、さらにその賑わいを加速するような施設がオープンしている。
その名も「うみの図書館」。海のそばの古民家を改装し、ただ本を貸し借りするだけではなく、泊まれる図書館だ。
図書館部分を5月の連休に先にオープンさせ、準備が整う6月下旬から宿泊予約を開始する見込み。すでに、地元の小学生が授業の一環で見学に訪れるなど、地域との交流も始まる中、いよいよ本格的なスタートを迎えた。
図書館入り口
同館をオープンさせたのは、津田町出身で、大学在学中からUターン起業した㈱ゲンナイ(さぬき市津田町津田737)の黒川慎一朗さん(25)。(一社)さぬき市津田地区まちづくり協議会の理事も務め、津田の活性化に力を入れている。
同館の本は主に寄付で集め、海にまつわる本と同館に流れ着いてきた本(漂流文庫)の2種類を扱う。漂流の仕方は、同館の趣旨に賛同した県内外の飲食店などに本棚を設置し、そこを連携拠点として本の返却や貸し借りができるというもの。つまり、同館で借りた本を、連携拠点で返却し、そこでまた新たな本を借りられるという仕組みだ。いずれは、本が全国各地を”漂流”できるよう、全国に拠点を広げたいとしている。
海にまつわる本
また、宿泊施設(ゲストハウス)は全部で3部屋で、部屋番号に謎の数字があてられている。それが136・257・489。これらの数字は、日本の多くの図書館で本を整理するのに使われている本の分類番号(日本十進分類法)からとっている。例えば136は1人部屋の番号。分類によると、大まかに1は哲学、3は社会科学、6は産業などと分けられており、1人旅に来る方は1人で思いを巡らすなど静かな時を過ごしたいのではないかなど、その部屋に泊まる人に対して、黒川さんの思いが込められている。ちなみに、257、489は2人部屋と4人部屋だ。
2人部屋の「257」
黒川さんは「東京からわざわざお金を払ってここに来て、本を持って海沿いへ行き、ただ本を読んでいた方がいて、それがすごく印象的でした。海辺でただ本を読むというのは、その位の価値があるんだなと思ったのが泊まれる図書館を作ったきっかけです。本を借りて頂く方を通じて本が日本中を漂流していく世界観を作れたらいいなと思っています」と思いを話していた。
同館では、現在、貸し出し可能な本は文庫本から絵本まで全部で2500冊以上で、5月のオープン以降、貸し出し数はすでに120冊を超えており、地元住民のほか、東京や埼玉、沖縄などから観光や短期間の帰省で訪れた人が借りるなど、すでに黒川さんの思い描く”漂流”が少しずつ始まっている。
また、同館と同時期に、海のそばにピザ屋もオープンしたほか、今後カレー屋やバーもオープン予定で、津田地区は今後ますます盛り上がりそうだ。
うみの図書館:
住所:さぬき市津田町津田1418 海のすぐそば
【図書】本の貸出期間は2年間で、1人5冊まで。貸出無料。13時~19時営業で火・水休み。
【宿泊】宿泊料:1人5000円~(税込) 予約・お問い合わせなど:インスタグラム@umi_tosho