香川県は本州と長大橋で結ばれた四国という島の中にありながら、“陸続き”さながらの地の利の恩恵をしっかりと享受する稀有な場所であるということが今回の論点の鍵。
それはまず交通インフラの充実ぶりである。残念ながら船便は撤退が相次いで、往時に及ぶべくもなくなった。だが鉄路なら全ての新幹線停車駅である岡山駅と、昼間15分〜20分に一本の快速・特急電車で県内のどこかが結ばれているということをもっと強調したい。
また道路でいうなら淡路島を経由して大阪との間には実に高速バス網が20分に一本の割合で県内のどこかと結ばれている。空路ならば東京都市圏とは一時間に一本の割合で便が飛んでいるのでたいへん便利なアクセスを誇る。
そこで香川県では近年、「MICE」というものに照準と焦点を絞っている様子。官民一体で誘致を進めていく組織を最近立ち上げている。そこで生かされるのが高松市で以前開催された「G7主要7カ国情報通信大臣会合」の経験である。大規模な国際会議の開催手順や警備方式など今後に活かすことで、永続的に国際的な大規模交流イベント・会議等を香川県に呼び込もうという戦略でなのである。
コロナ禍前までの香川県は全県で「観光香川」を精力的に全面に打ち出した、各種プロモーションにて国際線誘致や瀬戸芸の開催等を通じた実績を掲げて来た。大きなイベントなくても常に多くの観光客に香川を目指してもらえる素地が出来つつあったと言えるのである。
香川県を会場(舞台)とした学術会議や商品見本市を仕掛けてもらうことで、国内外から多くの参加者に香川へ来てもらおうというものだ。
まずは県内にある様々な団体・業界が年間計画で行う各種の大会の情報をとりまとめ一元化して、営業を行って行かなければならない。こうしたイベントは各県が持ち回りで行うことが多いが、ぜひいち早く香川県で行ってもらう約束を取り付けることが肝要である。
そうした情報の一元化で得た貴重なチャンスを活かすためには、
経済波及効果が大きい「アフターコンベンション」と呼ばれる、前後の観光設定や事前の視察旅行までをパッケージ化。スムーズに執り行うための、官民一体の協力体制の整備も必要となる。
主催者側にとっては、プランの中にいかに魅了的なコンテンツを揃え参加人数を増やせるかが勝負。また参加した人の満足度を高めることが出来れば評価も上がり、再び会場に選ばれる可能性も。
これまでは高松市を中心にした観光コンベンションビューローが中心で担ってきた案件なども、今後は更にオール香川で対応をしていかなければならない。
香川県をはじめとする県下の自治体と国の機関などが地元民間事業者と、垣根を越えた連携を構築していかなければ、地域間競争には到底太刀打ちできないからだ。
すでに各県とも国際会議場・見本市会場の整備は一段落をしていて、施設間や都市間の競争が繰り広げられている。アクセスの良さや参加者夫人や子ども達などの同行者が喜ぶような体験メニューがどれだけあるのか。
ユニークな取組みをおこなう地域や企業を短時間で巡る社会科見学的コースが複数提示できるかなど、きめ細かなアレンジを施すことや、アテンドサポートが勝敗を左右する。
もちろん数日間にわたる滞在を必要とするので、一番には快適に宿泊することが出来るホテルや旅館の施設・サービスレベルが水準以上であることがとても大切である。部屋の広さはもちろん飲食施設のレベル、共用部の充実ぶりなど、連泊でも快適に過ごせるものでなければならない。
また夜の街をそぞろ歩いて楽しめる安心なマップや、厳選したお店の情報なども欠かせない。その土地ならではの食や体験が、観光での再来を促すのは言うまでもないからだ.
高松市内ではこれまで大型のイベントを開催出来る施設が、サンポート周辺の既存ホールか高松市総合体育館、サンメッセ香川など中心部から離れた場所とに別れて別々にあったので、本大会の後の分科会を行うにはバスを仕立てての移動が必要であった。
そうした手間が少なくなる期待があり、誘致活動にも追い風となる。何しろMICE誘致の経済波及効果は末端までを考えると大変裾野が広い。
ドイツなどは地方都市でも巨大な見本市会場を有して、年中欧州各国はもとより世界中から参加者が集まる。本場のサッカースタジアムなどもコンベンション開催に転用する。
週末を中心に会場内外で活躍をしてもらえるボランティア組織もしっかりと運営して、香川県民が総出で「ウェルカム!四国香川」を演出出来るようなスキームに仕上げていく。
「香川県で開催して良かった」その言葉を最大の目標に、MICEを立派な産業レベルにまで引き上げれば、交流人口の拡大はもとより地域力の向上につながってくることだろう。
G7主要国首脳会議・日本サミットが開催される2023年!高松市での関係閣僚会議を香川県では誘致を進めている。ぜひとも誘致の成功を目指してしっかりと活動を行っていって欲しいものである。