国税庁が発表した今年の路線価。
香川県は2422地点の平均が前年よりもマイナス0・9%減となり、30年連続の下落である。昨年のマイナス1・1%からは多少上げ幅が縮まった。路線に面した標準的な宅地の一平方メートル当たりの評価額で、相続税、贈与税の税額を算定する際の基準となるもの。3月に国土交通省が公表する公示地価をベースにして売買実例や不動産鑑定士の意見を参考にして算定されている。
香川県は昨年までと同様に回復基調とはならなかった。
日本全体では上昇したのは20都道府県でした。新型コロナウイルスの影響で7道県にとどまった昨年から大きく増加し、コロナ禍の影響が反映されていない一昨年の21都道府県に迫りました。上昇率のトップは北海道で、昨年の1.0%から4.0%に上げ幅が拡大しました。続いて福岡県の3.6%(昨年1.8%)、宮城県2.9%(同1.4%)でした。下落したのは27県で、昨年の39都府県から大幅に減りました。最も下落率が大きかったのは和歌山県で、昨年の1.2%減から1.3%減と下げ幅がわずかに広がりました。
四国は4県ともマイナスとなっている。高松国税局管内の四国四県は下げ幅が30年連続で下落傾向に歯止めが掛からない。コロナ禍の影響に加えて、人口減少や高齢化、地場産業の停滞のマイナス要素に、ウィズコロナの新時代の観光需要の高まり期待も路線価を引き上げるまでには至ってない。
ただ高松市内に目を転じると、中央通り沿いには新ビルが相次いで竣工しているほか、オフィスビルの売買も行われており、JR高松駅ビルと文理大学の高松駅キャンパス、外資系ラグジュアリーホテルの新設計画、サンポート高松への新県立体育館がついに着工され、完成に合わせて上昇に転じる要素は多いと言えよう。まちなかには相次いで複数のタワーマンションが各所で建設されていることもその証明となっている。
また香川県の路線価の最高地点は全国にその名を注目され続けている高松丸亀町商店街である。住宅とセットでの再開発が進んだことで、一時は大きく減少していた都心への定住人口が増えてきており、商店街への来訪者も着実に高まりつつある。その上、商店街に隣接する大工町・磨屋町地区再開発ではマンション建設が始まり、その後も南部のD・E・F街区の再開発計画が控えている。低層階に商業施設や医療・介護施設、高層階は分譲マンションというあ組み合わせは定番となっている。
他都市もそうだが、こうした都市再開発計画がある街は、周辺の開発を誘引して路線価の上昇に転じているところが多いのは地方都市の特徴だ。
オフィスやホテル、マンション等の不動産投資、何よりもそこに働き居住する人が増えること。それによって土地の取引が増えて路線価に反映される。地方での地価上昇は再開発案件がほとんどない中でもインバウンドを中心に交流人口増につながる観光需要に引っ張られてきたのは間違いない。
コロナ前の西日本では大阪や京都がオーバーツーリズムで飽和状態となっている。インバウンド目標値は2020年四千万人であった。関西から広島や九州へのインバウンドニューズの面的な広がりに香川県でも直島はすでに定番コースに選ばれている。
ポストコロナの時代、広島から九州方面へと向かう観光客。途中に直島までは足を伸ばして来てくれている多くの観光客を、そのまま四国島内までいかに引っ張って来られるかの仕掛けに掛かってくるとも言えるのではないだろうか。
局所的な上昇トレンドをいかに広い地域にまで拡大していけるか。地方と都市圏の二極化は今後も更に進むことは明白。地域経済活動を活発にするためには、人を呼び込む工夫、そこから移住へ進む暮らし易い地域作りを進めていくことの重要性も、再認識をしていかなくてはならない。結局、そうした地域には観光客も魅力を感じてもらえる何かがあるからである。
大阪万博はすぐそこまで迫っている。万博を契機に地域作りを劇的に変えることが出来るチャンスが香川県には眠っている。