四国地域の活性化に取り組む四国家サポーターズクラブ(共同代表/四国旅客鉄道(株)半井真司相談役、日本郵便(株)四国支社 内田謙介支社長、四国電力(株)長井啓介取締役会長)では、戦後の日本を代表する作家・脚本家である早坂 暁氏の名著「遍路国往還記」を約30年ぶりに復刊した。
早坂氏(2017年没)は四国・松山市の出身。胎内被爆者が主人公のテレビドラマ「夢千代日記」など、生涯1,000本とも言われる数の作品を世に送り届けてきた。
1991年1月から1993年4月まで朝日新聞で連載された「遍路国往還記」は、お遍路巡りを描いた「巡礼記」ではない。四国の遍路みち沿いの商家で生まれ育った早坂氏が、空海、龍馬、山頭火など四国ゆかりの偉人100人の「歩み」を遍路になぞらえて綴ったものだ。1994年に上製本で出版、のちに文庫化され好評を博したが、長らく絶版となっていた。
これを再評価した同クラブは、「文化的な視点で四国を見つめ直す契機に」と、プロジェクトを立ち上げ復刊。文章、表紙イラスト、連載当時の掲載写真なども完全復刻している。
ジョン万次郎も、夏目漱石も平賀源内も言うなれば「遍路びと」であり、四国を往還する彼らの物語を通して、“往生と転生”の地たる四国の魅力を知ることができる。百遍の物語に目を通せば、まるでお遍路巡りを成し遂げたかのような充足感を味わえることだろう。
折しも、季節は春。麗らかな陽光に心躍らせながら、ガイドブックのように同書を携えて、花の舞う四国路を一歩ずつ歩きたい。
定価1,980円。
