【高松市サン・フラワー通り】わかくさ菓子舗が紡ぐ伝統と革新

 高松市郊外、サンフラワー通りに店を構える「お菓子のわかくさ」(㈲わかくさ菓子舗)。

 1963年の創業以来、地域に寄り添い、和菓子の伝統を大切に守りながらも、時代の変化に合わせて洋菓子も取り入れてきた。

 店内には、四季折々の彩りとやさしい香りが漂い、訪れる人の心を和ませる。

 「わかくさ」は、早春に芽吹く草のようなみずみずしい黄緑色。屋号には創業者夫婦が大切にした初心と、菓子舗の成長への願いが込められた。

 ショーケースには、厳選の栗を煮込み小豆あんで包んで焼き上げた「栗王」、北海道産大納言を使った素朴な饅頭「キツネの嫁入り」など長年人気を集める和菓子が並ぶ。『勝栗』という言葉があるように、「栗王」は縁起物としても重宝される逸品。

 ほか、四季折々の行事に添える練り切りや、法要・慶事に合わせて作られる赤飯、お餅、饅頭など、ひとつひとつの品に込められた意味や所作を大切にしている。

 創業間もなく、「もっと多くの人に、わかくさの味を楽しんでほしい」との想いから、洋菓子づくりにも挑戦。ケーキやカステラ、和の風味を取り入れた焼き菓子などが親しみやすい価格で提供され、幅広い層に支持をうける。

 

 2004年、県内で開催された第24回全国豊かな海づくり大会では、来県された天皇皇后両陛下が同店のクッキーを召し上がり、美智子后両陛下(現 上皇后)にお誉めの言葉を賜るという栄誉にも恵まれた。

 手間を惜しまず、素材を見極め、すべての工程に心を込める、それが「わかくさ流」。職人の手仕事と素材へのこだわり、地域への想いは、今も変わらない。

 「お菓子のわかくさ」の菓子には、甘さの奥に、職人の誠実な心と季節のうつろいが宿る。なじみ客には子どもの頃の思い出を呼び起こす懐かしい味であり、初めての来店者には四季を知る感動のひとくちを提供する。

 夏場は白、黒ごま、抹茶と3種類から選べる、わらびもち(698円)、麩まんじゅうなど季節限定品も登場。お祝いの席や贈り物に、自分へのご褒美に、和菓子のある暮らしを、いま一度味わってみてはどうだろう。

 高松市伏石町2027-8、気象台東交差点の北100m。

 火曜定休。9時~18時30分。

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