【かがわコラム】地方中核市が担う「国土均等化」の今――コンパクトシティと交通再編の現在地

かつて高松市で開催された「まちなか元気サミット・地域振興フォーラム」から約10年。国が推し進めてきた「立地適正化計画」や中心市街地活性化の取り組みは、いま大きな転換期と成熟期を同時に迎えている。

移住の「クッション機能」として重要度が増す地方中核市 大都市圏から地方への移住・定住促進において、県庁所在地をはじめとする地方中核都市の役割は一段と高まっている。いきなり農山村へ移住してコミニュティになじめず離脱してしまう事例は今も後を絶たない。その点、都市利便性と豊かな自然環境を兼ね備えた高松市のような地方中核都市は、移住者の「ファーストステップ(一次受け皿)」として絶好の環境を提供する。近年普及したリモートワークや二拠点生活といった柔軟な働き方とも親和性が高く、地方中核市の魅力向上は、依然として国土の均等発展における極めて重要な柱である。

「立地適正化」とコンパクトシティの課題 全国の地方都市では、人口減少と超高齢化に対応するため、商業・医療・住宅などの都市機能を拠点に集約する「立地適正化計画」の策定・運用が進んだ。しかし現場に目を向ければ、空き店舗や中心部小学校の統合・跡地利用(ホテルや福祉施設への転換)など、都市の姿は刻々と変化している。国に過度に依存せず、高松丸亀町商店街の再開発に代表されるような自治体・事業者の主体的なまちづくりが求められる局面は、当時以上に広がっている。

都市機能の集約と公共交通の再編は、いまや全国的な共通課題だ。その先進地・富山市が2020年にLRTの南北接続を完了させたのに続き、2023年には宇都宮市が全線新設のLRT(ライトライン)を開業。郊外と都心部を快適に結び、流動人口の増加や沿線開発を引き寄せる「まちづくりの起爆剤」として全国から大きな注目を集めている。

高松市においても、ことでん琴平線の複線化と途中に新駅として伏石駅を開業、駅前に整備したバスターミナルを軸としたバス路線の再編、仏生山エリアへの医療・交流機能の集約など、鉄道軸を活かした「多核連携型」の街づくりを着実に前進させてきた。

また「高松市立みんなの病院」が移転した仏生山エリアを中心に、医療・福祉・住居が集約された南部拠点の整備が具体化。鉄道軸を活用した多核連携型コンパクトシティの形が見え始めている。

新たなインフラ整備から既存交通網のスマート化まで手法は都市それぞれだが、狙いは一つ。マイカーに頼りすぎず誰もが移動しやすい環境を整え、街の賑わいと行政コストの最適化を両立させることだ。試行錯誤を重ねてきた各都市の挑戦は今、地方の未来を支える確かな基盤となりつつある。

これからの地方都市に求められる視点  高松市でかつて議論された北側の瀬戸大橋通りを中心とした新規LRT整備などの構想は、既存の鉄道(JRやことでん)やバス路線の利便性向上、モビリティのスマート化(MaaSや自動運転技術の実装)といった現実的かつ持続可能なアプローチへとアップデートされてきた。

都市の無秩序な拡散を抑え、持続可能な行政コストで市民の暮らしと移動の足を護る取り組みは、一朝一夕には完了しない。サミットで交わされた熱い議論から10年余り。各都市が積み重ねてきた試行錯誤は今、確かな形となって地方の未来を支え始めている。

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