今も昔もこれからも「高松港」は瀬戸内クルーズの拠点⛴ 〈かがわコラム〉

2019年まで日本船籍の大型客船による世界一周クルーズがかつてない人気となり、発売と同時に売り切れる盛況ぶり。

 国内クルーズに関しては、大手商船会社の国際大型クルーズ船を運用した年間国内クルーズ企画として、時々高松港にも入港するものの、瀬戸内海独自の地元出発のクルーズ観光のアイデアに関しては、今までのところ一部の民間クルーズ船の就航ニュースをのぞくと、香川発に関しては今のところは盛り上がりに欠けたままである。

 瀬戸内海汽船『シーパセオ2』

 広島港からは小型のクルーズ船やフェリーをクルーズ仕様にして、気軽な瀬戸内海観光をアピールしている瀬戸内海汽船がある。

広島市の船会社が切り開く瀬戸内クルーズ観光

もともとは広島と松山を結ぶ航路を運営している定期旅客船企業であるが、他社に先駆けて瀬戸内海をクルーズ観光する企画を打ち出し、それに見合う船舶を所有してきた。

 団塊の世代はすでに大量退職。退職後にしたいイベントでは常にトップ候補となるのが旅行であるが、すでにシニア層には航空旅行の強行軍を強いられる旅行はしんどくなっている。

 荷物を直接、現地に送って身軽な国内移動だけで乗船を済ませる。時間はかかるものの、ゆったりとした時間の中で、贅沢な気分に浸る事の出来るのが数日間の近距離クルーズ。これなら参加できると体力的にもあまり無理が出来ない熟年層以上の世代に特に人気が高い。

 近年は海外船籍のクルーズ企業も、日本発着で周辺を比較的短い期間で巡ることのでき、価格もリーズナブルな国内クルーズ商品へ積極的に進出してきている。まだまだクルーズ文化の浸透していない日本では、まちがいなく需要が眠っている。

みんなが最低数百万円はする海外豪華クルーズに行けるわけではなく、最近の日本訪問ブームに沿う形で気軽に日本の四季を、南北に長い日本列島ならではでうまくコース設定し体験できるクルーズの良さを生かし、定期クルーズ船の就航が実現できている。

 ただ日本周遊を行っている各社のクルーズ船は一隻を除くと全て外国船籍なので、必ず法律で一ヶ所海外の港を経由しなければならない。釜山や基隆(キールン)がほとんど。7万トンクラスの大型船のためゆったりした雰囲気ではなく、レストランや劇場も巨大でどこかせわしない。

瀬戸内海にもようやくクルーズブームの訪れを感じる

 瀬戸内しまたびライン『シースピカ』(瀬戸内海汽船グループ)

 広島や岡山県の港から出発して、牛窓や小豆島、広島県の生口島など瀬戸内海の中でも特に風光明媚な名所を巡るコースが設定されたクルーズ客船は相次いで就航している。

 その中に瀬戸内海の都、玄関口を自認し、東方からの瀬戸内海の入り口となる備讃瀬戸の中心、高松港はあいにく、どちらのクルーズ客船にコース設定からは洩れているようだ。

 外国からの客船は瀬戸内海の大型船航行規制にひっかかってしまうらしい。明石海峡と来島海峡に挟まれたエリアには、大型船の寄港はなく、西日本ではまず神戸港が拠点港として、クルーズ船の母港化に動いているため、高松港としても岸壁をクルーズ船対応にするか、サンポートの5万トンバースの拡張しかない。せっかく再び盛り上がりつつある国内クルーズ熱においても蚊帳の外に置かれてはなんにもならない。

    ガンツウ(両備ホールディングス)

 今後複数の計画が出てくれば高松寄港をする客船も可能性はあるものの、夢はあくまでも高松港が瀬戸内クルーズの出発起点となること。上に写真を紹介したガンツウなどは、まるで小型のブティックホテルが海上を移動しているように、部屋も共有スペースも優雅に貸切感覚でシニア層にはぴったりの贅沢な空間演出がなされている小型クルーズ船。ただし岡山がベース。

「瀬戸内海」はぜひ訪れるべき観光地として名前が上がる

世界から観光客が集まってくるとき、クルーズ船の基地となる街は世界の人々が行き交う国際的な港街として、とても賑やかな発展を見せるはず。

 神戸のような都会よりももっと海が身近に感じられ、人々の生活が垣間見える小規模の都市のほうがより雰囲気が出る。

 近年、高松港を発着するフェリー航路は減便や廃止が続き港の風景は寂しくなっている。ということはそれだけ港に余裕ができている。

エーゲ海クルーズの起点となるアテネ近郊の街「ピレウス」のように、無数のクルーズ船が港を埋め尽くす独特の風景が高松に実現することを待ち望みたい。

ピレウス港

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