香川で勃発した長年の流通戦争はいよいよ最終章に移ったのだろうか?  《かがわコラム》

2000年代に入って本格化した香川県の流通業界の出店競争は、有史以来の大戦国時代を潜り抜け、2010年代にはそろそろ収まりが付くかと思っていた。その時点で対岸の岡山市周辺と比べても、大型店の出店ラッシュの厳しさは一目瞭然である。

最近の香川の若者たちの休日の行動パターンは、車で県内の大型店を順番に回るというのが主流になっているという説もあるくらい、種類も大きさもバラエティに富んだ店舗構成である。

当初は大きな箱の中に沢山のショップが入るスタイル。これは2万平米以上の商業施設。その後は広い敷地に食品スーパーを中心とした中規模のオープンモールタイプの商業施設が主流になった。

大店立地法の改正

規制緩和の象徴であった大店立地法が改正され、基本的に商業地域でしか出店申請ができなくなってきてからは、食品スーパーディスカウントストア、ドラッグストアなどの業種業態による単独または、複数の2000平米内外の小規模の店舗のオープンがほとんどでコンスタントに出店している。

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これまで香川県ではすくまなく郊外の2万平米クラスの大型店の出店が、他県域地域よりも早く行われ一通りの出店が済んだ模様。現在はその隙間を埋める様に小型店舗が出店しているという構図。
20代から30代のニューファミリーを中心に、混雑する都心部を敬遠し、郊外の大型店を利用する生活スタイルが浸透。コロナウイルス後ゆめタウンなど行くと相変わらず多くの来店客が来ている。

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いまや中心市街地が健全に維持できる都市は政令指定都市レベルまで、といった話もあるが、その指定都市でも郊外への消費行動の変化は着実に進行している。また各地の郊外に誕生した超弩級のイオンモールから、何もなかった周辺の幹線道路沿いの街づくりへと発展している地域は大変多い。

県外企業によるマルナカ包囲網が競争に拍車

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香川県には昔からマルナカマルヨシセンターが競っていた。そこに割って入るムーミーきむら。しかしマルナカはイオンへマルヨシセンターはイズミのグループ入りというまさかの出来事に驚いたものである。その後の香川市場を目指して、今度は広島からハローズエブリイ、岡山からラムーが着実に店舗網を拡大している

四国勢のフジキョーエイサニーマートエースワン、ママイなどはどれもマルナカ対策からか、香川県で出店を進めようとしたものだが、香川市場の難しさもあって出店数は伸ばすことができずに現在では撤退、もしくは新規出店を止めているのとは好対照だ。新勢力企業は特に24時間スーパーを売り物にしており、コンビニはもとよりドラッグストアとの強敵ともなっていると聞く。
ドラッグストアには生鮮産品を除いた食品売り場が価格もスーパーより安いため強敵となってきた。食品スーパーとホームセンターが一緒になっているスーパーセンターも徐々に勢力拡大中。
しかしやはり総菜や生鮮が充実する食品スーパーに回帰していて、面が埋まりつつある香川市場。

高松都心でも再開発が活発化、今のところ商業の集積にはあまり影響がない

一足早く郊外の大型店出店ラッシュの洗礼を受けた福岡市でも、西日本有数の商業集積を誇り盤石と思われた天神エリアの集客力に陰りが見えて来たと聞く。そこで危機感を共有して大規模な再開発に乗り出しており、オフィスの下に商業機能を持つ都心が整備されている。

(まとめ)

香川もイオンとイズミの中心市街地包囲網を打破すべく、丸亀町商店街や南新町、トキワ街など続々と商店街の再開発計画が進められている。ただことでん瓦町駅上の「瓦町フラッグ」は物販テナントの撤退が進み、カルチャーやオフィス、医療などに機能をシフトしている。商店街も今は、コロナ禍で閉店数が増えていることから、市街地の居住者を増やす方向で少し長い目で消費者の呼び込みを図っている。

都会では一本はずれた裏通りが注目され、個性的で元気なショップを若者達が巡る回遊コースなども作り出している。高松市でも画一的な大型店、中央資本のショップへの転換が進む商店街にはない強烈な個性や、それを実現した街中ショップの集積が進めば、買い物の面白さの発掘にもなり、都心再生の鍵となろう。すでに大型開発は時代遅れとなってしまている地方都市の現状。横丁やメインとは異なるストリートの情勢による回遊が高松市でも出来る様な民間投資をサポートして欲しい。

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