高松のまちづくり、これからどうするの?    《かがわコラム》

「瀬戸の都」高松市。創造都市戦略を進める高松市が持つポテンシャルを最大限に活かすために、42万市民の持つ様々な能力や発想を市政に注入することで、高松市は魅力ある街への変貌を遂げていくのではないでしょうか。

高松市番町にある広い病院跡地は長らくそのまま平地となっている

街一番の好立地で広い敷地をもし民間に売却してしまうと、後の祭り。都心の一等地の行く末が決まる大事な場面なのだが、現在までのところなかなか良いアイデアが出ないのは残念だ。

その街に暮らす市民にとって夢のある話が幾つも出てくるであろうと思うのだが。普通、こうした都心の跡地利用は、その街がどんなまちづくりを目指すか、二度と出ない好立地をどう生かすか、当然白熱議論がわき起こる。県はマーケットサウンディングを行ってはいるのだがその後は音沙汰ナシ。

ぜひここにはこんな施設を造ったらどうだろうとか、ここにはこんな施設が相応しい。夢のある未来像が描かれていてもおかしくないし、沢山のアイデアがあってどれにしたら良いのか議論しようといったことになる。ところが、県は当初、売却ありきであったのでこの議論は出て来ずじまい。

当然、売却先は入札価格の有利な条件提示があった企業が優先となる。そうではなく、素晴らしい利用計画を提示することが出来た企業グループに払い下げるという条件は当然付けるべき。ただ果たしてディベロッパーはリターン優先でどこまでこの場所の価値に相応しい魅力ある施設に生まれかわらせることが出来るのか、これは疑問である。

最初にも書いたように、

 高松都心でこれだけまとまった土地が出てくることはこれまでもあまりないしこれからも出て来ない。

たぶん四半世紀前の「サンポート高松」以来だろう。高松の街の一大事。意外とまちなかには開発に適した土地は既に少なくなってしまった。

それだけ希少性があるのだから、都市間競争にも勝ち抜く、話題を集める象徴的な開発案件が、そうでなくても他都市にはないような都心立地のゆとりある文化系施設が示されてもおかしくない。

危惧するのはマンション開発業者などへ一括で売却することだ

この土地は購入者のものとなり、それ以降市民はおいそれと敷地に入ったり、施設を利用することは出来なくなってしまう。公共的財産でなくなる訳である。

マンションディベロッパーは開発した物件を売ってしまえばおしまい。せめて低層階に文化施設や商業施設、上層階はオフィスや住宅の併用すれば人民が集まりやすい、行政が言うところの“にぎわい創出型”の施設となることをせめてのぞみたいと思っていた。これには行政が最後まで関与する必要が出てくる。

その後、県民からの要望が複数出て、県としても一旦決めた民間への売却によらずに、独自の使用を打ち出すに至ったがその先は動いていない。

実は高松市中心部では、数年前にさかのぼると、統合された小・中学校が誕生し、それまでの複数の学校施設が不要となった時期がある。市は公共施設として存続を約束。地域にとっても、財産でもある土地が次の高松市を創造する空間として生まれ変わるのかと、期待をしていたのである。

ところがどの学校跡地もそのまま校舎を残す、ないしは一部をのぞき校舎を解体して残った建物をリニューアル。体育館や運動場なども再整備し、もっぱら地域の住民のためのコミュニティ施設へと生まれ変わった。

中で市役所の北側、最も都心にあった四番丁小学校は運動場や体育館はそのまま使用し、既存の校舎を一部リニューアルし活用。地域のコミュニティの拠点のほか、ものづくりなどの工房機能、高松市埋蔵文化財センターを設けた。

新塩屋小学校には教育センター。築地小学校も地域のコミュニティの拠点としている。日新小学校も一部地域のコミュニティ機能にした。城内中学校は玉藻公園の一部となる予定だが、貴重な都心部の土地がほぼそのままの形で、地域のコミセン的なコミュニティ施設、地域のスポーツ・コミュニティの拠点として運用されている。

卒業生の心のふるさとであり貴重な地域の広場としては十分な活用と言えるが、都市の魅力アップとしての見方をすると、生徒のいない学校は、ひっそりとしどこかもの悲しい。

できればこれだけある中で機能を集約するとか、各学校の役割を変え、地域のポテンシャルを創造し、それを広く見て参加してもらえる、戦略的な施設展開もアリではなかったのか。

高松市に限ったことではなく学校の統廃合は全国の都市で行われている。中には売却され、好立地から業務施設やマンションなどに生まれ変わった跡地もあり、集客や都心居住の増に貢献している学校跡も多い。

中には世界的な高級ホテルの誘致に成功した都市もある。個人的にとても気に入った場所が、

 神戸市の旧北野小学校跡地に誕生した「北野工房のまち」や、京都市の龍池小学校跡地の「京都国際マンガミュージアム」だ。

自分達の街を見つめ直し、新たな街のシンボルとして、学校空間を生まれ変わらせている。建物は歴史在る小学校当時の造りを生かし、校庭は駐車場や広場として活用。地元の利用も多く、観光客にも好評。地域の新名所に生まれ変わった。

小学校としての記憶にいつでも触れることが出来るにもかかわらず、更にそれを発展させ、新しい街の顔として、地域の枠を超えて幅広い人が集う可能性を拓くこうした活用方法は見習うべき点も多い。

幸いにも高松市では民間に売却せずに市が所有しているので、ひとつ将来構想として考えていくことは可能だろう。

ぜひ県立中央病院跡地についても、民間の活力を活用するにしても、こうした未来展望に基づく地域のビジョンを地元としてしっかり示し、提案内容を検討すべきであろう。高松のまちづくりをもっと市民が自由に話し合える。そんな場が増えてくれれば嬉しい。

** 街の未来は私達が創るのだから。 **

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