新県立体育館は四国最大規模! サンポート高松はスポーツ・ライブのメッカへなる🆕   《かがわコラム》

上の資料は香川県が公表している「新香川県立体育館基本設計概要」。2018年に行われた設計公募型プロポーザルコンペにおいて、選定されたSANAAの他、日建・タカネ設計JV、SUEP、藤本壮介、坂茂・松田平田設計と錚々たる日本を代表する設計事務所が揃った。その中で最高点を獲得したのがSANAA。日建・タカネ連合とは評価点で同点ながら評価委員の決戦投票による順位付けで勝ち取った。技術提案が他者よりも最も優れたという評価を得ている。

具体的にはアリーナレベルと公園レベルの二層構造のユニークさ、それによって可能にする公園のような新しい公共空間を実現しているという点、瀬戸内海や讃岐平野にある山々の風景への連続性を感じさせる外観と内部空間の機能拡張性とそれを可能にする利用者による発展可能性を評価している。

四国最大規模のスポーツアリーナを高松築港を生まれ変わらせたサンポートに造る意味

この施設により高松市としては、まず第一に中核市、四国の玄関口というポテンシャルを思う存分発揮出来る、今後は全国規模の大会誘致も増えて来るのではないか。

二つ目にはやはり県都の発展なくして県の発展はないということ。現にこうしたアリーナ施設の整備では、これまで愛媛県と徳島県がだいぶん優位の時代が続いた。
それは「愛媛県武道館」がある愛媛県松山市と、「アスティ徳島」がある徳島県徳島市であり、四国で行われるスポーツやイベント、音楽コンサートなどの大規模な興行のほとんどがこの2つの都市が占めている。

高松市体育館も開設当初は四国最大規模であったので、多くのイベントを集めたものの、上記の2施設が出来て以降、この20年位は香川は素通りされてしまっているという事実がある。もちろん四国全体で機能分担すればいいのではという意見もあろうが、例えば平日の興業イベントを他県から観覧しようと隣接県から訪問するとして、興業終了後にまた自分の県に帰るのは鉄道が発達する都市圏ならたやすいが、四国では帰るダイヤが少なくあっても2〜3時間はかかってしまうので、家に着くのは日付が変わってしまうことなど宿泊圏内となってしまう。

高松市には県立の二千席規模のホールがあるものの、近年、アリーナツアーを仕掛ける人気のアーティストが多くあり、セットもその大きさで作られる。キャパ不足ではこうした有名アーティストの公演は、現に高松市を素通りしてしまっていて、四国公演はアスティ徳島か、愛媛県武道館のどちらかとなっているケースが見受けられるのである。

三つ目は建築遺跡と化している旧県立体育館に替わり、中央体育館の機能も担わされている「高松市総合体育館」も、すでに完成から30年以上が経ち、市民スポーツレベルでの開催はクリアしても、全国大会レベルではスポーツ大会でさえ見劣りする場面がある。

この施設が多目的に使用出来る複合アリーナであることが強みになる

最近の音楽コンサートの傾向は、特に人気アーティストの公演場所について、舞台装置の大型化などで設置や移動コストもかさむことから、人口規模がある一定のレベル以上で集客が期待でき、かつ規模の大きなアリーナ施設が整っている都市で複数日の設定で開催するというスタイルが一般的。

新県立体育館であれば、やはり全国規模のスポーツ大会や、有名アーティストの興行イベントを誘致するにふさわしく、お金を払って観に行くに足りるレベルの、感動的でエキサイトできるスポーツの殿堂になっていなくてはならないと思う。

髙松市内には、まちなかから少しはずれたことでんの志度線、沖松島駅前に高松市総合体育館がある。路線バスはなく電車や徒歩、自転車以外はほぼクルマ利用が多いにもかかわらず、駐車場は狭く場内は一方通行で通路も一本しかないので、イベントの終了時の混雑ぶりはすごい。
貸切バスの駐車場などの整備は必要不可欠だが、ことマイカーに頼る輸送計画だと、渋滞を回避するのは至難の業だ。

高松市生島町にある香川県総合運動公園が良い例である。複数の施設で大会開催が重なると郊外にありながら駐車場はすぐにキャパを超え、周辺の道路は出入りに大渋滞を引き起こしている。また街中にないとイベントが平日開催の時には、仕事帰りにそのまま参加するのは難しくなる。要する興業型のスポーツ大会には全く向いていないのだ。週末型、ないしは平日の大会対応。

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県立体育館が存在しない現在、県内随一の規模を持つ高松市総合体育館

サンポート高松には大きな遊休地があった上に活用策の検討が進んでいた。県を代表する新アリーナにはもってこいの場所である。屋内施設ならば周辺に先に立地が進むマンション群への騒音も抑えられるのである。

地域スポーツでは、プロバスケットボールリーグ「Bリーグ」一部リーグ昇格を目指す「香川ファイブアローズ」は現在、高松市体育館がホームアリーナだが、いずれ新県立体育館に移転となるであろう。スポーツ観戦には最適な環境で魅力が大幅にアップするので、集客、チーム力強化に新アリーナが機能するはずだ。

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