現在、ベネッセアートサイト直島の一部のアート施設は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため9月12日まで開館時間短縮だが、直島温泉、宮浦ギャラリー六区は島民限定で開館している。このうち、宮浦ギャラリー六区瀬戸内「 」資料館では、9月6日までの予定で、第三回瀬戸内「鍰(からみ)造景」資料館として、展示が行われている。
残念ながら、地元の方限定の展示となってしまったが、鍰(からみ)は来年の瀬戸内国際芸術祭や、今後直島を訪れる際に必ず心にとめて置いて欲しいワードである。鍰(からみ)は、直島の産業を大きく担う銅の製錬の際に出た不純物で、約70年前に直島の民家や町の外壁や屋根瓦など至る所に使われた。直島の産業として、地場に根付いた文化となったものである。ただ、現在も見られる鍰製の瓦屋根は島内でも珍しく5件ほどになったという。
使われなくなった瓦、ブロックなどは、今でも民家のデコレーションに使用され、玄関先を飾っている。気をつけて散策すれば至るところで見かけるものとなっているとのこと。同資料館では、『直島「鍰」風景地図』500円税込)』を作成しているので、ぜひ地図を片手に直島を歩いて欲しいと館長でアーティストの下道基行氏は話している。
2013年から直島、宮ノ浦地区に設置された『宮浦ギャラリー六区』では、2019年から瀬戸内「 」資料館として、直島を中心とした瀬戸内海地域の景観、風土、民族、歴史などを新しく掘り下げる資料館を作るプロジェクトを不定期に開催している。
感染症が落ち着いた際には、アートとともに直島の文化・歴史を鍰(からみ)に注目して体感して欲しい。