【地方創生は政治の現場から】政治には本当に地方の行く末について、その実情をわかって欲しい🗞

 

政治ドラマの主役は私達国民ひとりひとり

これまで私達は政治の世界の力学や論理をいやというほど見せられてきた。
いわゆる「55年体制の崩壊」となった1990年代後半から、2000年代に入る頃、政党政治も不安定の時代へと、その傾向は政治不信や外交の停滞にもつながり、その都度国益は損なわれてもきた。

それにも増して、党内のごたごたや大臣の失言、はたまた失態が新聞紙上をにぎわす有様は、決してほめられるものではない。天下国家を語る以前に、政治の信用は失墜した。

ところが第二次安倍内閣以降は、ピタリと止んだ。いやうまくマスコミをコントロールしているのではと思わせるほど、安定した政権運営を見せていた。
経済の成長戦略、いわゆる三本の矢は見事に的を得て、世の中に「アベノミクス」効果を知らしめた。消費税の8%への移行もスムーズに実施したことで、国際的な信頼関係を構築。
しっかりとテーマを持った外交戦略は、久しぶりに日本の地位を回復したかに見えた。やはり政治の安定が経済活動にも効いてくるのだ。

 しかしながら、10%への消費増税をもたつき、先延ばしを続けてしまった。結果、景気の後退局面を迎えた政権は、消費増税に対してしっかりと持ちこたえることが出来る支えを失ってしまっていた。そこへの今回のコロナウイルスの来襲は日本経済に大きなダメージを与えることとなったのである。

新成長戦略の柱に据えていこうということで、女性の登用とともに、1億総活躍を謳ったものの、それ以降日本の今後を占う重要な政策を矢継ぎ早に打ち出すことはなくなった。

戦後最長、全閣僚が同じ顔ぶれでの運営の安定感がいつの間にやら、内閣改造が順送り人事の場所として位置づけられる。女性閣僚の登用で、女性の力をしっかり活用する道筋が付けられた。

中央集権の構造を変えないと、小手先だけでは、日本の国の本質は変わらない。そこまでの覚悟を持ってしか、地方消滅の危機は回避できないし、地方発の産業育成にもつながらない。
10数年ほど前には活発であった道州制の議論も今や空中分解。権限委譲は遠い彼方に去って行った。

菅総理になってもそれは変わることはなく、自民党の総裁選挙で選ばれるであろう新総理には是非ともそこから変革を期待したい。地方出身者にこだわりを持っていかなければ変わらないからだ。

そういった中で今回のコロナ禍では各都道府県知事が表立ってその県の治療やワクチン接種の方針を打ち出す機会を得た。新型コロナによる特措法が地方自治の重要性を新めて思い知らせる役目を果たしたのは皮肉としか言いようがない。中央集権で片づくほどの簡単な手順ではなかったということ。地方に住む我々にとっても、所属している地方自治体によってこうも対応に差が出てくるのかと思い知ったのである。

もっと地方に普段からの権限と予算の委譲を行い、地方自治を筋肉質にしていくことはとっても大事なことであることを今一度、政治に問いたい。

特区でお茶を濁すのではない、根本的な規制緩和の実現へ

 

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福岡市が「創業(雇用)特区」に選ばれ、起業に対する各種の優遇措置、起業を目指す若者達と既存の経営者達の交流の場の創生など、独自の施策を打ち出す。

若者人口が多く、ITやゲーム業界を中心に、福岡発のベンチャー企業が、かなりの勢力を持ち始めていることが大きい。
福岡市は10年後にはそうしたベンチャー企業の割合を全事業者数の二割にすることを目標に掲げており、現福岡市長の高島宗一郎氏がもともとマスメディア出身であることから、コンテンツビジネスに明るいことも追い風だ。

市長に就任してからの、ここまでは福岡市へのコンテンツ産業の集積の勢いはすさまじい限りだ。スマホアプリで全世界を相手にビジネスを展開する「LINE社」の本社が博多駅前に移転するなど、業界での評価も高まっている。そういえば「妖怪ウォッチ」の会社も福岡市であった。

福岡市の挑戦は日本の地方都市のひとつのモデルとなるものだが、もっと地方都市でこそ、こうした戦略的な企業の誘導が必要。
自分達の強みは何か、IT新時代の今日なら、地方を変革する新たな展開も可能。
ゲームチェンジを主導している。

神山モデルを全国の過疎地に広げていくには

お隣の徳島県神山町は、大都会からIT企業がサテライトオフィスを続々と開設し、本社との人材交流が盛んに行われている。日本の中でも過疎の問題を一番、深刻に受けている四国にありながら、次々、企業を引きつける魅力とは。

実際に訪れたことがあるが、山あいに開けたどこにでもあるような山村のどこに最先端のオフィスが点在しているか、部外者にはわかりずらい。それもそのはず。空き家となっている普通の古民家を改装。新たに何かを建てて誘致しているわけではない。
通信網というインフラの整備と地元の受け入れ態勢が魅力の源となった。すでに進出企業の横のつながりも出来、近い将来、“神山モデル”となる神山発のビジネスモデルも生まれる。

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コロナ収束後に日本社会は地方の存在がこれまでとは大きく異なってくる。“3密”とは切っても切り離せない都会での暮らしはリスクが高すぎる。蜜とは縁遠い地方での暮らしの魅力が再確認されている。

しかしいざ、地方に住んで地方で生活していくためには、これまでの地場産業のよさを受け継ぐ新産業育成が必要。政治の世界でも地方に目を向けた権限委譲をもっと促していって欲しい。狭い日本、一極集中はリスクでしかないのだから。都会暮らしと田舎暮らしでは物事の価値判断の基準がまるっきり異なっている。そのことは地域から当選した議員でしかわからないし、国会でそれを政策として昇華は出来ない。

今度の衆議院議員選挙は日本の未来を地方から考えていくうえで、とっても大事な選択になる。

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