2026年1月、まだ冬の寒風が吹き抜きすさぶサンポート高松であったのだが、新設された「あなぶきアリーナ香川」が威容を誇り、かつての風景は一変した。しかし美しく再整備された玉藻公園前の「キャッスルプロムナード」を歩くと、そのあまりの「すっきり」とした景観にどこか寂しさを覚えた。
サンポート高松では歩行者動線の「ウォーカブル化」が徹底されている。高松駅からアリーナ、そして各乗船場まで、信号を気にせず2階デッキからシームレスにアクセスできる構造は、都市としての機能を追求した結果の産物だ。この広大な空間に「命」を吹き込むのが、2026年4月から新フェーズに入った「サンポートFACTプロジェクト」である。
この実験、2025年では「日陰の少なさ」と「風対策」が利用者の最大の不満点であることがデータとして証明された。これにより、作り替えられた2026年の再整備プランでは、単に人が集まる空間を作るだけでなく、常設の日よけ(パーゴラ)や植栽の追加、風に強い什器の選定が必須条件として組み込まれることになった。

香川県のプロジェクションマッピングやクリスマスマーケット開催の取り組みもあって、アリーナ開館後の同エリアは、特にイベント終了後に夜間需要が予想以上に高いことが判明した。これを受け、街灯のみだったエリアに、植栽へのアップライトや遺構(可動橋)のライトアップなど、「夜の景観デザイン」が本格的な事業計画に格上げされた。
またこれまでの単発イベントとは一線を画し、これまで公共空間での物販飲食などの商売には厳しい制限が存在していたが、実証実験を通じて「民間が長期的に出店しやすいルール(FACTプロジェクトの本格稼働)」が整備された。「4月からの常設に近い店舗展開」を可能にした法的·運用的基盤が整った。先日の体育の日、訪れたサンポート高松では常設に近い形でオープンカフェやシーサイドバー、ショップを誘致できるようになっていた。
海沿いのオクトーバーフェストの会場は多くの人が集まり、高松駅からシーサイドプロムナードまで、賑わいが繋がっていた。あの広場や通路があるだけで長年外には何もないと言われたサンポート地区が、日常的に「瀬戸内の海辺で過ごす」髙松市民のライフスタイルの変革を提案しようというものだが、定着しつつあると感じた。

毎週末の「サンポート髙松」に行けば必ず何かがある―そんな認知が広まることで、このプロムナードは「ただの通路·空間」から「街のリビング」へと変貌を遂げるはずである。
海側に目を向ければ、最新鋭のインフラが静かに活躍の時を待っている。離島航路の浮桟橋は、PCハイブリッド構造の巨大なものへと高度化された。今後の新造船導入や、激甚化する災害時の緊急輸送ルート確保(リダンダンシー)等をあらかじめ見据えた、四国の命綱を守るための投資であるのだ。
バリアフリー化された可動橋は、潮位を問わず誰もがスムーズに海へ漕ぎ出せる優しさを備え、デジタルサイネージや「瀬戸内MaaS」との連携が、観光のゲートウェイとしての知性を支えている。
遺稿が語る物語「残骸」をアイコンに。
そして、今もっとも注目すべきは、県営駐車場1階に横たわる「旧宇高国道フェリー桟橋の遺構」の行方だ。長年親しまれた本四間のフェリーが廃止されて久しく、「寂れた産業遺稿」と見られてきたあの武骨な鉄骨を、県は「瀬戸内の門(ゲート)」として再定義しようとしているのだ。

かつての宇高連絡船の記憶を継承するインダストリアル·アートとして、ライティングで演出し、周辺を「ポケットパーク」として整備する。10年以上前のシーサイドプロムナードデザインコンペで描かれた「桜の回廊」の夢を今でも記憶にとどめる。その情緒的な精神は、現代の機能的なプロムナードと、歴史を語る重厚な遺構のコントラストの中に、新たな形で結実しようとしている。
かつての連絡船を支えた“残骸”のすぐ隣で、次世代を支える“最新鋭の浮桟橋”が共存する。 サンポート高松は今、長い時間をかけ練り上げられた「港の役割」を、ようやく手に入れようとしている。まもなくその具体的なピースがすべて揃う。高松の海辺が、真に印象的な、誇れる都市景観へと進化する日は案外近いのかもしれない。(ネットニュース編集長)









