高松市(観光通り沿い)にある「ビールルーム とりかご」は、店内奥にある醸造所「しろすずめ」のクラフトビールを楽しむことができる、 “ブリューパブ”。
合同会社白雀 代表で醸造士の村石 啓(ひろむ)さんは、宮城県出身。お酒好きが高じて、名高いビールブルワリー「ベアードブルーイング(静岡県沼津市)」に2011年に就職し、約9年間、醸造士として勤務してきた。 そして、2021年にクラフトビール造りのために、高松市へ移住。
「高松市を選んだ理由は、友人に誘われて高松市を訪れたとき、商店街の雰囲気や、海のある景色が印象深かったからです」と村石さん。
「ビールルーム とりかご」は2021年5月にオープン。さらに免許を取得し、同年12月にクラフトビール醸造所「しろすずめ」として醸造を開始した。
「しろすずめ」は、良いことが起きる前兆といわれ、縁起がよいため、ビールを手にするお客さんの幸せを願って名づけたそうだ。
名刺やコースターなどのイラストは、村石さんの自筆。また、ビールの名称にもストーリー性があり、センスがきらりと光る。 ビールルーム とりかごのカウンター内の壁面には5つのタップ(注ぎ口)がある。
「ビールの幅広さや奥深さを知ってほしい」と、自社醸造製品を含む、最大5種類の、味わいやジャンルの異なるクラフトビールをスタンバイ。
クラフトビールとの出会いは一期一会。この日、開栓していたのは、「返りあわじ」(900円)。淡路島のみで栽培される希少な「なるとオレンジ」を買い付け、副原料に使用したフルーツエール。
「果皮の爽やかな香りに、ベルギー産のビール酵母が醸し出すバナナのような香りや、ホップ由来のパイナップルを思わせる香りを添えました。苦味が強くない、後口にほのかな酸味のある味わいです」と村石さん。
爽快で飲みやすく、まさに夏にぴったり。
また、村石さんが醸造するクラフトビールは、がつんとインパクトのあるものより、飲みやすく、飽きのこない味わいを意識しているそうだ。 「醸造では、やるべきことはしっかりと。発酵時間を含めて貯蔵に時間をかけて熟成させることで、バランスがよく、まろやかで飲みやすいものができます」。
また店内には、もうひとつ、日本独自のビールタップ「スイングカラン」を導入し、現在、サッポロ生ビール黒ラベルを提供している。
「お客様のお好みや気分をまず伺い、押しつけはしません」と村石さん。 土日は昼前から営業しているので、昼下がりのちょい飲みもできる。
他社の缶や瓶ビールの持ち帰り販売も行っている。
「今後は自社のクラフトビールも瓶詰め販売することを目標としています。フルーツ・野菜・ハーブなど香川産のものを副原料に使ったクラフトビールを造って県外にも伝えることができれば」と、話す。
客層は、観光客や移住者がおよそ半分を占める。お酒と人との出会いが生まれる場所だ。
高松市多賀町2-17-11 最寄り駅:ことでん瓦町駅・花園駅から徒歩圏内。
定休日:木曜日 営業時間:平日 16時〜20時30分(20時L.O.)、土日11時〜20時30分(20時L.O.)