香川県森林組合連合会(五所野尾恭一代表理事会長)は、香川県産ヒノキの普及、ブランド化を進めるためのキックオフイベントを8月25日に開いた。
香川県産のヒノキは雨量の少ない讃岐の地で長い時間をかけて成長していくことから、年輪が均等で歪みが少ない加工のしやすい住宅の建材として優れた特質を持ち、そして育った環境と同じ場所で人に使われることで気候や風土に自然と馴染むと言われている。
また、身近な材料として積極的に県産ヒノキを使うこと(地産住宅)は、古くから残っている地元の木にまつわる文化や職を後世へ受け継ぐことにも繋がっている。
同連合会では、香川県や県内企業などと連携し、香川県産ヒノキの優位性を積極的に発信、県産ヒノキのブランド化を進めている。
当日、会場となった㈱旺建(高松市 安守直敏社長)には、来賓や県内で活躍する経営者、有識者等が出席。
開会にあたり五所野尾代表理事会長は「県産ヒノキは厳しい環境で育っており、木の表面が綺麗で香りも良いのが特徴。
ヒノキは最良の建材と言われており、永きにわたって重宝されていおり、当会においてもブランド化に向けて積極的に取り組んでいきたい」と挨拶。
来賓挨拶では池田豊人知事が登壇。「香川のヒノキは将来性があると感じるとともに、知名度を上げていく必要があると感じている。本日のキックオフイベントが、県産ヒノキの出発点となることに期待している」と述べた。
続いて開かれた講演会では、九州大学農学部の清水邦儀准教授を招き、「香川県産ヒノキとその有用性について」を講演。
清水准教授は㈱旺建と共同研究契約を締結しており、共同で香川県産ヒノキの香り成分を有効活用する研究開発し、県産ヒノキ材の居住環境について生理面・心理面への影響を解析しながら、建材のPRに取り組んでいる。
講演では、県産ヒノキは良質の芳香成分が含まれており、仕事や勉強に集中力を高める効果やリラックス効果に優れ、人に与える影響を持っていることが、協同研究によって学術的にも明らかになっていることを解説。
昨今の異常気象や気候変動等を踏まえながら、「これから人間が安全に活動するためには地球環境を維持するための延命治療が必要不可欠。そのために、石油化学から自然由来のエネルギーに変換していくことが重要」と力説。
間伐の実施に加え、「伐って使って植える」循環利用を確立し、若い森林を確実に造成する「再生可能資源である森林資源の活用」の重要性を語った。
また、「新しいものを新しいテクノロジーで創る時代は終わり、既に在るものに科学的エビデンス・付加価値を付け、市場価値を大きくしていくことが、これからの時代には必要」と述べ、世代を超えて安心・安全に利用できる県産ヒノキの有用性と可能性について発表した。
その後、同社オフィスに併設しているヒノキ部屋の見学や意見交換、「香川ヒノキを応援する会」の設立がおこなわれるなど、県産ヒノキのブランド化に向け新たなスタートを切る機会となった。