クルーズ船から眺める瀬戸内海の夕陽は最高だった!  《かがわコラム》

夕陽に赤く染まる瀬戸内海の風景はどこにも負けない絶景だった。

三豊市父母ガ浜から見る瀬戸内海に沈む夕陽

令和3年現在、香川県内の瀬戸内海をクルーズする定期船は残念ながら皆無で、唯一、高松観光コンベンションが時折チャータークルーズを行っているほかは、民間のチャータープランのみ。高松市に宿泊する観光客には、夜の楽しみ(ナイトエコノミー)に魅力がないと吸引するのは難しい。

シティ観光では、都会ならではの各種ショーや観劇であったり、景勝地、夜景の遊覧観光など、どこへ行っても様々なコンテンツがあり、数日の滞在では選ぶのが困るくらいだ。日本の地方都市ではそういうわけにもいかない。でも良く見渡せば香川・高松市内には立派な「瀬戸内海」というかけがえのない資源が目の前に控えていることに気づく。

なかなか盛り上がらない香川でのクルーズ文化

リタイアした熟年層を中心にコロナ前まで「クルーズ」旅行がブームとなっていたが、その中身は世界一周であったり地中海やカリブ海といった、海外のメジャーなクルーズエリア観光であった。しかし数年前から本格的に海外船社が日本に進出。四季折々の日本の自然を季節毎に巡ってクルーズするプランが各社から出て来て、一気に日本のクルーズ文化に花開いたと言っても良い。

この近年の外国船籍のクルーズ船の積極的な日本発着の商品プランの投入だが、残念ながら瀬戸内海は大型船の航行規制が思いの外多い事や、外国船籍のクルーズ船が巨大化してしまい、瀬戸内クルーズを商品に組みづらくなっていった。本当な小規模なクルーズ船が高松港や宇野港などを起点にして周辺を巡るのが一番気軽な旅として受けるはず。

あとは自分で小さな船を買って近場で楽しむ程度。とはいえ、例えばニュージーランドのように日本と同様に海に周りを囲まれた島国ながら、普通の会社員が近所のマリーナに船を預けている文化とはいかず、なかなか日本ではクルーズ文化自体が育ってこない。

特にここ瀬戸内海は世界でも有数のクルーズ環境にありながら、広島や鳴門など一部を除いてクルーズ船は運航されていない。東京や大阪などの都会でも一部のレストランシップが運航されているものの、母港として運航する本格的な小型のクルーズ船は皆無に近い。

画像1

ここへ来て岡山を拠点に航路を運営する両備グループがデビューをさせた小豆島へ行くフェリーは、クルーズ観光を意識したものになっている。「おりんぴあどりーむ」と名付けられた船は、小型バスを積んで島にわたりバスで周遊するというもの。こうした形のフェリータイプで定期船にも割り当てられる船が、実は最も可能性が高くなるクルーズ商品となるのは致し方ないところか。

ただ両備ホールディングスは今春を目標に約九千トンもの大きなまるでひょうたん島のような夢のあるクルーズ船を建造していくことを発表している。結局この船どうなったのだろう?と興味が沸く。この船なら寄港地として高松港にも定期的に入港して、香川へ来られる富裕層の観光客にも途中乗船をして瀬戸内海クルーズを堪能していただけるのではと思う。

画像2

小型のカジノ船を高松港に常駐を

しかしながらあくまで上記の船舶は岡山港ベース。では高松港ならどうしたら良いか。今のところ、高松港ベースのフェリーでクルーズを意識して建造した船は残念ながら一隻もないのが実情。高松港を母港とするフェリー会社に是非、新造船を建造する際にクルーズ商品に使用出来る遊び心のある船を建造してもらう。

これは広島港をベースに定期航路に活躍する瀬戸内海汽船のフェリー&クルーズ船

 

ひとつの方法論としてだが、規制緩和で解禁の声も近い“カジノ”を特区として認めてもらい、船上カジノに仕立て上げればどうだろう。運航経費もカジノの収益から捻出すると料金も安くて済む。なにかと問題になる依存症や風紀等の影響などは、外界と否応なく遮断される船の上ならば、乗船名簿で身分もはっきりしており管理は比較的容易だ。

船自体は世界中に溢れているコロナ禍で影響を被った更新済みの中古客船の中から、程度の良いものを持ってきて日本人仕様に改装すればいい。乗船客は別にカジノだけでなく、せとうちクルーズそのものを楽しんでもらい、各島の歴史や文化に触れる機会を設ければきっと多くの人が利用してくれるのではないか。

瀬戸内海は小さな島の集合体で、各島の港には小さい岸壁しかない。大型の船で横付けは難しいばかりか、上陸用のはしけを何往復もしなければならない。小型の船ならそれが解消する。

画像3

世界中にカジノを目的にした船はあるようだが、大概どこも岸壁に係留して、まるで水に浮かぶカジノ場といった趣で、クルーズを楽しむようにはなっていない。もちろん外国船籍の大型クルーズ船にはカジノが附属はされているが、小型の船はカジノを目当てに乗ることはない。

景気のてこ入れ、観光振興に向けて全国でカジノの誘致運動は相変わらず盛んであったが、コロナ禍で急速に議論が萎んでしまった。大型の投資環境ではなくなった現在、この案なら比較的スムーズに日本でも導入が進むのではないか。横浜のように湾岸に巨大なIRは必要なくなったと感じる。

 

(まとめ)一番の目的はぜひ瀬戸内海の魅力をもっと多くの内外からの人に知ってもらいたいということ。さぬき人が日頃、眺めている瀬戸内の景観が世界的にも素晴らしいレベルの絶景であることを認識出来る。ひと味違ったスタイルをそこにドッキングさせることで、地方のクルーズ観光振興、日本のクルーズ文化の発展にも一役買ってもらえたらいい。来年開催される「瀬戸内国際芸術祭」における、レベルの高い受け入れ体制という課題解決も含めて、シティセールスの肝でもあるアフターコンベンションのプログラムとしての垢抜けた魅力ある商品群の開発が急務である。
タイトルとURLをコピーしました