帝国データバンクが23日に発表した調査レポートによると、国内のスタジアム・アリーナ運営主要50社の2024年度売上高合計は3,851億円に達しました。これは、パンデミック前の2019年度と比較して18.7%増という高い伸び率です。
この成長を力強く牽引しているのが、各地で相次ぐ新設アリーナの開業です。特に、2025年2月に香川県高松市に誕生した「あなぶきアリーナ香川」は、地方都市におけるアリーナ戦略の試金石として注目を集めています。

レポートによると、アリーナ部門の売上高は1,417億円。音楽ライブの全面再開やBリーグの隆盛が追い風となっているほか、「消費単価の上昇」が重要なキーワードとなっています。
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付帯サービスの充実: VIP席やラウンジ、飲食スペースの拡充により、来場者1人あたりの単価が向上。
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多目的化の加速: 単なる体育館ではなく、展示会や企業イベント、国際会議まで対応可能な多機能性が収益基盤を支えています。
中四国最大級の最大1万人収容を誇る「あなぶきアリーナ香川」も、まさにこのトレンドの最先端を行く施設です。世界的建築家ユニット「SANAA」が設計した同アリーナは、海への眺望が開けた交流エリアを備え、イベントがない日でも県民が憩える「開かれたインフラ」としての機能を備えています。

施設開発の最大の原動力となっているのが、Bリーグが2026-27シーズンから導入する新区分「B.PREMIER」です。
参入条件には「一定規模以上の収容人数」や「VIP席などのホスピタリティ機能」が厳格に定められており、これが各地での新設・改修を後押ししています。地元クラブの「香川ファイブアローズ」も、この新アリーナをホームとして活用。安定した興行が見込めるプロスポーツが核となることで、アリーナへの投資回収を図る「好循環」が生まれつつあります。
現在、スタジアム・アリーナの約6割が「指定管理者制度」を採用しています。 あなぶきアリーナ香川も、地元企業を中心としたコンソーシアムが運営を担う指定管理者制度を導入。自治体が所有しつつ、民間の営業力やノウハウを活用することで、柔軟なイベント誘致やコスト管理を実現しています。
帝国データバンクは、今後の課題として「持続可能な運営と地域特性に応じた整備」を挙げています。
アリーナは単なる箱モノではなく、観光、雇用、経済活性化を生む「社会インフラ」へと進化しています。2025年に開業ラッシュを迎えた香川、東京、愛知、兵庫などの新設施設が、いかにして「地域の顔」として定着できるか。その成否が、都市間競争の行方を占う重要な指標となりそうです。
2025年2月の開館以来、あなぶきアリーナ香川は中四国最大級の拠点として、予想を上回るペースで稼働しています。

開館から約10ヶ月が経過し、施設の活用は極めて活発です。
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施設稼働率: 2025年9月時点の発表では、メインアリーナの稼働率は94%に達しています。週末はコンサートやBリーグ(香川ファイブアローズ)の試合でほぼ埋まっており、平日は展示会や地域スポーツ、武道大会など多用途での利用が定着しています。
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累計来場者数: 開業から半年(8月末時点)で延べ46万人を突破。10月末に開催されたハロウィン・プロジェクションマッピング単体でも約5.2万人が来場しており、2025年通算での来場者数は、当初予測を大幅に上回るペースで推移しています。
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国際的評価: SANAA設計によるデザイン性は世界的に評価され、ユネスコの建築賞「ベルサイユ賞」で最優秀賞(世界で最も美しいアリーナ)を受賞しました。これにより、観光客の「見学目的」での来場も増えています。
アリーナの開業は、隣接するJR高松駅周辺やサンポート地区の経済を劇的に変貌させています。
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人流の変化: 人気アーティストの「こけら落とし」公演時には、周辺の人出が通常の土日の5〜9割増を記録しました。これにより、高松駅構内やサンポート内の飲食店・物販店の売上が過去最高水準となっています。
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試算される経済効果:
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年間経済波及効果: 香川県の試算および関連データに基づくと、年間で約310億円に達する見通しです。
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来場者消費額: 宿泊や飲食を含めた来場者の直接消費額は年間で約52億円と推計されています。
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夜間観光(ナイトタイムエコノミー)の創出: 県は周辺の夜型観光推進に約3.2億円の予算を投じており、プロジェクションマッピング等のイベントを通じて、イベント終了後の宿泊・飲食需要の取り込みに成功しています。

「あなぶきアリーナ香川」は、単なるスポーツ施設を超えた「社会インフラ」としての地位を確立しつつあります。









