瀬戸大橋の工事が始まった頃に、瀬戸内海歴史民俗資料館(松岡明子舘長)では、瀬戸内の島々独特の歴史、文化の喪失に危機感を覚え島しょ部の調査をおこなった。昭和56年の報告書から40年以上、今年度から現場確認調査が始まっている。
7月28日には、専門職員の井奥亮太氏が粟島(三豊市)で、聞き取り調査をおこなった際のエピソードを含めた講座が開催され、定員25名を超える人々が訪れ、講座に聴き入った。
井奥氏は、粟島の家庭に多く残された海外土産がヨーロッパ、南米、インド世論、台湾と多くの地域から持ち帰られていた事から、世界を駆け巡った粟島の船乗りはもちろん、帰りを待つ家族達の生活や海運会社の福利厚生、船員、家族の想いに至るまでを調査した。
現在、工事中の旧粟島海員学校本館(粟島海洋記念館)の変遷、また北海道、東北まで寄港した粟島の廻船業は北前船との競争の激化した時代など、江戸時代から高度経済成長期を経て平成の初頭まで粟島に現在も残る資料を読み解いている。
第13回企画展「粟島から世界へ」は9月1日(日)まで。