株式会社エンジョイワークス(神奈川県鎌倉市、福田和則社長)は5月9日(金)、3×3Lab Future(東京都千代田区)で「ローカルIPOサミット2025」を開催する。同社と瀬戸内ビレッジ株式会社(香川県三豊市、古田秘馬社長)は今年1月、瀬戸内の人気宿泊施設「URASHIMA VILLAGE」を対象に、不動産クラウドファンディング(ソーシャルPJファンド1号)を実施。地域内外の大手企業(JR西日本・JAL)と個人含む投資家約100名の出資1億3800万円と中国銀行と香川銀行からのノンリコースローン9200万円を受け組成し、計2.3億円の資金調達を達成した(ファンド募集は2024年9月〜2025年1月)。
これは「ローカルIPO」と名付けた地域における新たな資金調達・地域活性のモデルで、当イベント「ローカルIPOサミット2025」では、エンジョイワークスと瀬戸内ビレッジのほか、多数企業が登壇。この画期的な仕組みが今後の地域活性へもたらす影響と可能性について多角的な視点から議論し、大手企業と地域事業者の新たな関係性を構築する場となる。

「ローカルIPO」とは、ファンドを活用した「地域版のIPO」とも言える資金調達・循環モデル(※IPOには該当しないが、ローカル事業において地域内外の多くの方を巻き込みながら、資金調達と事業のステップを目指すスキームを、未上場企業のIPOになぞらえて呼んでいる)。
ポイントは以下の3点。
【1】地域事業者が所有する不動産をファンドに売却(オフバランス)後、リースバックし、事業者は事業を継続
【2】ファンドは、個人投資家、地域金融機関、地元企業、大手企業まで多くのステークホルダーが参画して組成。個人投資家は「関係人口」から「株主人口」となり、大手企業等と一緒に事業参画できる新しい投資のかたちとなる。
【3】地域事業者は、オフバランス化して得た資金を次の地域活性化につながる事業へ再投資し、地域活性化に資する事業のサイクルを加速させる。

ローカルIPOの資金調達循環モデル
その第一弾事例となったのがURASHIMA VILLAGEファンド。香川県三豊市の地元企業ら11社による共同出資で立ち上げた瀬戸内ビレッジが運営する、同市の宿泊施設「URASHIMA VILLAGE(2021年開業 https://urashimavillage.com/)」をファンドに売却し、その資金を次の地域活性の事業に投資する仕組み。宿としての「経営」と建物の「所有」を分離することで、財務状況を安定化。地元事業者による経営(運営)は継続し、建物のみをSPC(合同会社三豊地域活性化ファンド)が「共同所有」する。当ファンドでは、JR西日本やJALなども含む投資家約100名の出資1億3800万円と中国銀行と香川銀行からのノンリコースローン9200万円を受けて組成しており、大手企業から個人まで「三豊の地域創生に共感し、支援する方々」が集まった。

瀬戸内海の穏やかで美しい海に面した「URASHIMA VILLAGE」(写真左)と瀬戸内ビレッジのメンバー
地域に根ざしたビジネスでは、資金調達の仕組みが構築されておらず、先行投資の回収に時間がかかることが課題に上がる。「ローカルIPO」は、それらを解決できるモデルとして注目されている。事業者・地域・投資家それぞれにメリットがある「三方よし」のスキームで、地方創生のエンジンを加速させることができる。